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「どう考えても速いよね」 MUFGとAkamaiの“世界最速”ブロックチェーン誕生秘話(3/5 ページ)

» 2018年06月29日 06時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

毎秒100万件実現はブロックチェーンの本質を突き詰めた結果

 新型ブロックチェーンは概念実証段階(PoC)の評価が終わった段階。本番環境では毎秒100万件の取引処理と2秒以下での決済完了を見込めるとしており、さらには毎秒1000万件まで展望できると鳴川CTOは話す。

新型ブロックチェーンのシステム性能

 いくら原理的に高速とはいえ、これだけの高速処理の中で合意形成アルゴリズムや耐改ざん性がどのように実現されているのかというのは疑問に感じるところ。

 こんな疑問に対し、新村CTOは「基本的な強度はビットコインと同じ」と応える。

 「系全体として、ビットコインと同じになるような構造にしているため、(合意形成や耐改ざん性も含め)数学的モデルとしては極めてビットコインに近い」と新村CTO。

 「詳しく話すことはできないが、PoW(Proof of Work、ビットコインなどが採用する合意形成アルゴリズム)とは異なる仕組みを採用している。PoWがビットコインの系全体に対して果たしている決定的な役割を別な方法で再現している。ブロック生成時間はあまり本質的ではない。とにかく言えるのは、参加しているコンピュータが全て同じ立場で、優劣がなく、その中でうまく多数決を行っているということ。それを新型ブロックチェーンでは再現している」(新村CTO)

 決済の完了を2秒以内に行うとしている中で、特にファイナリティ(ブロックチェーン上に書き込んだ取引が確実に覆らないといえる性質)に掛かる時間だけでいえばたったの1.4秒。新型ブロックチェーンでは1ブロック生成時間を100ミリ秒としており、確率的に書き込みが覆る確率が相当に小さいといえる「確認数」を6回としている。

 「100ミリ秒を6回で600ミリ秒だが、各ノードがトランザクションを上げてくるので中にはブロックにうまく取り込まれないトランザクションも出てくる。そうしたトランザクションも含め、1.4秒あればそのトランザクションが少なくとも6周期前のブロックに入るということをPoCで確認した」(同氏)

 「つまり、ビットコインがやっていることをすごく短いピッチでシミュレートしているという話になる」と、鳴川CTOが補足する。

 また、耐性評価については「第三者の研究所にPoCを確認してもらい、『特段問題は見受けられない』という回答をもらっている」(鳴川CTO)と不正なトランザクションやビザンチン故障に対する考慮はしっかりあることを強調した。

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