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» 2018年08月21日 08時00分 公開

「AIが犯罪を予測する世界」が危険なワケ(2/5 ページ)

[松本健太郎,ITmedia]

 具体的には、第1話は拳銃の購入履歴、第2話は毒物の購入履歴、第3話はニトログリセリンの購入履歴、第5話は子猫を持ち去る防犯カメラの映像が決め手になりました。あまりに直接的で、それって別にAIを持ち出す必要性が無いだろと突っ込まざるを得ません。

 ありとあらゆる個人情報が収集されているなら、数百〜数千ある特徴量の中から「理由は分からないけど、こいつは犯罪者だ」と危険人物扱いすることもできるはずです。

 例えば「街中でこういう行動をしている人は7日以内に犯罪に手を染める可能性が68%です、理由はディープラーニングを使っているから不明です」ぐらいの展開は欲しいところです。

 しかし、それっぽいシーンは第4話ぐらいで、いくら視聴者に分かりやすく説明したいとはいえ、見ている側としては白けてしまいます。ビッグデータの解析=AIではないのです。

 AIと付けばマイルドに感じますが、これまでの放送内容は単に盗聴・盗撮による監視捜査です。もう少し“AIらしさ”を加味した「犯罪の予測と予防」の物語を希望したいです。

AI 画像はイメージ

 「犯罪の予測と予防」の攻防を描いた傑作といえば、映画「マイノリティ・リポート」や、テレビアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」が挙げられます。

 犯罪が起こる前に対象を逮捕できれば、犯罪被害者にとっては「自分のようなつらい記憶を抱く人が減る」と安心できるでしょう。実際、ミハンシステムの予測を元に捜査するチームメンバーたちは何らかの犯罪被害に遭っています。犯罪を憎むメンバーからすれば、ミハンシステムは救世主のような存在といえます。

 一方で、完璧なシステムなど存在しません。ミハンシステムの精度ですら90%だそうです。自分は何も思っていないのに、いきなり「あなた、殺意を抱きましたね」と決めつけられて「既に起きた事件」と見なして逮捕されるなんて、考えるだけでもゾッとします。

 もし、それがOKとされるなら、そんな社会はジョージ・オーウェルの小説「1984年」で描かれた全体主義、権威主義、管理主義でしかありません。「マイノリティ・リポート」や「PSYCHO-PASS サイコパス」は、安全の代償としてのディストピアな管理社会を丁寧に描いています。ドラマも折り返し地点を過ぎ、最終回に向けて加速し始めました。次なる展開に期待しましょう。

実際の日本では何が起こっているか?

 AIを用いた「犯罪の予測と予防」は、既に日本でも導入が検討され、一部では運用が始まっています。

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