ITmedia NEWS > AI+ >
ニュース
» 2018年08月21日 08時00分 公開

「AIが犯罪を予測する世界」が危険なワケ(3/5 ページ)

[松本健太郎,ITmedia]

 京都府ではひったくりを予測するシステムをNECと共同開発し、2016年10月に運用を始めています。データから「犯罪が起きやすい場所や時間」を明らかにできるそうです。

 これまでは勘と経験だけを頼りにパトロールしていたかもしれませんが、AIが注意喚起する場所を重点的にパトロールすれば、未然に犯罪を防げる可能性もあります。

 ロジック自体は至って普通で、例えばこの仕組みをタクシーに転換すれば、乗車客数予測システムができるでしょう。NTTドコモのサービス「AIタクシー」や、ディー・エヌ・エーのタクシー配車アプリ「タクベル」などが有名です。

 また、NTT東日本とベンチャー企業のアースアイズは5月に「AIガードマン」を発表。小売り店舗にAIを搭載したカメラを設置し、来店者の不審行動を検知して万引きを防止するサービスを6月下旬から提供しています。

AI 「AIガードマン」

 最近では、「ビッグデータによる暴力団襲撃予測」に関する報道もありました。捜査員が尾行で確認した組員らの動向や、クルマの使用状況といったデータを解析することで、襲撃時期や地域を予測できるそうです。

 もしかしたら九州地方の情報番組では「今日の暴力団襲撃予測は30%、帰り際は念のため防弾チョッキを着込んで帰宅してください」とアナウンスが流れるかもしれません。

 報道では「正確な分析が短時間で可能となる」と県警幹部が自信をのぞかせていますが、ちょっと危ういと感じているのは私だけではないでしょう。

 尾行による監視で得たデータのみでビッグデータといえるのかはともかく、果たしてそれだけで“正確”に分析できるでしょうか。

 「データが不足しているから」という理由で、上記以外のデータを含める可能性はないでしょうか。そうなるとパーソナルデータの目的外利用に当たるかもしれません。予測のために必要以上にデータを収集するとなると、プライバシーの問題も気になります。

 まさか、ヤクザにはそんな基本的人権すら与えられていないのでしょうか。まさに映画「ヤクザと憲法」で描かれた世界の延長を垣間見た気分になります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.