グリーは10月30日、中国の大手動画サービス「bilibili」(通称『ビリビリ動画』)などを運営するBiliBiliと業務提携すると発表した。日本・中国国内でのスマートフォンゲーム事業、バーチャルYouTuber(VTuber)事業で協業する。グリーの田中良和社長は「日本のコンテンツに興味関心のある中国のユーザーにリーチできる」と意気込む。
12月に2社が共同出資し、ゲーム開発・運営を行う「bGゲームス」(本社は東京都渋谷区)を設立する。資本金と出資比率は非開示だが「マジョリティーはBiliBili」(グリー)という。
第1弾事業として、日本・中国市場向けスマホゲームを開発。「ソードアート・オンライン」などを担当したライトノベル編集者の三木一馬氏(ストレートエッジ代表取締役)と「拡散性ミリオンアーサー」などを手掛けたゲームクリエイターの安藤武博氏(シシララ社長)をプロデューサーに迎え、2020年中のリリースを目指す。
「中国スマホゲーム市場は日本をしのぐ巨大なマーケットだ」――グリーの田中社長はそう話す。同社の主力であるゲーム事業のグローバル展開を狙う中で、注目したのが月間アクティブユーザー約1億人(全世界)を抱える「bilibili」だ。中国国内のユーザーの約82%は「Z世代」(1990年代半ば〜2000年代生まれ)といい、アニメやゲームなど“2次元文化”との親和性が高いとみる。
BiliBiliは、動画サービスだけでなく、Androidスマホ向けゲームアプリの配信プラットフォームも運営している。グリーの前田悠太氏(上級執行役員)は「(ビリビリ動画が抱える)1億人のユーザーに対し、スマホゲームをおすすめできる。魅力的なチャンネルだ」と期待を寄せる。
両社によれば、2017年の中国のスマホゲーム市場規模(売上高)は1161億元(約1兆8700億円、前年比41.7%)で、18年の推定額は1623億元(約2兆6200億円)という。グリーの田中社長は「大きな事業機会があるが、中国は外資の参入規制があるなど、日本企業が単独では展開しにくい。現地企業とのパートナーシップが必要」と説明する。
VTuber事業でも協業する。グリー子会社のWright Flyer Live Entertainment(WFLE)が運営するライブ配信プラットフォーム「REALITY」と、BilBiliが運営するプラットフォームの両方で、VTuberが日中同時配信する、といった展開を検討する。
グリーは、VTuber事業に今後1〜2年間で約100億円を投資する計画を打ち出し、注力している。子会社のWFLEは30日、「ゲーム部プロジェクト」「道明寺ここあ」などのVTuberプロデュースを手掛けるバーチャルユーチューバー社(東京都目黒区)と資本業務提携を結んだことも発表した。
BiliBiliとの提携を通じ「VTuberが日中双方で配信できるゲートウェイの役割を果たしていく」(グリー前田氏)としている。
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