目的は「問題を解決すること」だったのが、いつの間にか「AIを導入すること」にすり替わっているのです。「AIで何とかしよう」と目論んでも失敗しますし、結果的に「その場しのぎで人を増やした」というオチになりかねません。
例えば「紙書類に記入された内容を担当者がデータベースに入力する手間を削減する」という要望があったとします。ありがちな例として、「紙書類に記入された文字をAIが認識して、内容を分類してデータベースに入力する」という仕組みを作ろうとします。
目的は達成できるかもしれませんが、ここまで手間と予算を掛ける必要はありません。しかも精度が低ければ、確認や修正を行う人材も必要になるでしょう。それなら紙書類を廃止して、タブレットでデータ入力すれば済む話です。
今どき「舶来のカラクリは使えないでござる」と反発する、江戸時代から働く古参社員もいませんし、いたら早々に改易させましょう。最小限の手間と予算で問題を解決するのがデキる社会人であり、会社の予算を使った米帝プレイはお勧めできません。
このように、AIを適材適所に配置することが重要です。「まずはAIを導入しよう」ではなく、AIが活躍できる分野を把握・判断するのが最初の一歩です。
世間で「何でもAI」「とにかくAI」と、喧伝(けんでん)されて久しいです。本来は手段であるAIも、プレスリリース芸、株価操作の材料、メンツを保つため、などの目的に使われています。
ハロウィーンは秋の収穫を祝い、悪霊を追い出す宗教的行事です。それを楽しむために、かぼちゃをくり抜いたオブジェを作ったり、子どもが仮装してお菓子をもらうイベントになりました。しかし、日本では大人が繁華街で暴れて軽トラックがひっくり返すなど、祭り以前に単なる悪ふざけになっています。AIもハロウィーンも、いつの間にか本来の目的とかけ離れているのです。
Pepperも多くの企業が解約に踏み切っているようですが、決して役立たずなダメロボットではありません。ただし、何でもできるわけではないのです。
フィクションにおいてダメロボットとされた「ボロット(丸出だめ夫)」や「ロボコン(がんばれ!!ロボコン)」も家事ができますし、今の技術に照らし合わせれば立派なロボットです。AIもPepperも過大評価や誤解をされることもありますが、人間より優れた面は限定的であると自覚すべきです。
ハロウィーンでウェイ系のパリピがハメを外すのも、ブームに乗せられて考えなしにAIやPepperを導入する企業も「五十歩百歩」「どんぐりの背比べ」です。
企業におけるAI導入において、後々問題が発生する可能性も無視できません。今年10月、米Amazon.comの人事採用AIが女性差別的な判断を行ったとされ、問題になりました。もし製造業で導入した不良品検知AIが「異常」を「正常」と誤認して見過ごせば、後になって事故やリコールにつながるでしょう。
それを隠蔽するために改ざんを行っても、いずれ発覚するのは目に見えています。企業がAIを導入するなら自社業務に合った用途を見出して、Pepperを活用するはま寿司を目標とすべきです。
ハロウィーンはトラックをひっくり返す祭りではありませんし、AIは流行に乗って導入するものではありません。大人として、社会人として、物事は冷静に判断しましょう。ハロウィーンやAIブームという祭りに踊らされて、後悔してからでは遅いのです。そうなれば「後の祭り」ですから。
大激突! Pepper vs パートのおばちゃん “コスパ頂上決戦”
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なぜ日本は人工知能研究で世界に勝てないか 東大・松尾豊さんが語る“根本的な原因”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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