国土交通省は12月10日、大雪時に一部地域でタイヤチェーン規制を実施すると発表した。ネット上では「チェーンの装着を義務化するなんてばかげている」「雪国のことを分かっていない」といった声が上がっているが、実際は異例な降雪などの緊急時に、従来なら通行止めとなる状況でも、一部区間を「チェーン装着車なら通行可能にする」という発表だった。
なぜ、ネット上でこうした誤解が広まったのか。
今回の発表では「雪が降ったら必ずチェーンを装着しなければいけない」という誤解が広まっている。主な原因は「タイヤチェーン装着義務化」という報道の言葉だけがTwitterなどのSNS上で拡散されてしまったことだ。
11日、NHKなどが「タイヤチェーン装着義務化」と見出しを付けて報道。Twitterなどで拡散されるうちに、見出しだけを見て話題に参加したり、緊急時の施策であることを知らなかったりするままニュースに言及する人が現れた。そうした発言を見て、さらに誤解する人が増える――という状況になった。
中には国土交通省の発表を確認して誤解に気付く人もいたが、そうした“訂正意見”は「タイヤチェーン装着義務化」という言葉ほど拡散されていない。
国土交通省によれば、規制の狙いは従来なら通行止めになる区間をチェーン装着車であれば通行可能にし、立ち往生の緩和などにつなげることだ。一般市街地に規制をかけるつもりはないという。
「実施する場所も頻度も限られている。(チェーン規制は)年に数回あるかどうか。市街地を走る分には、スタッドレスタイヤで構わない」(国交省)
異例な降雪時の一部区間で、スタッドレスタイヤではなくタイヤチェーン装着を義務付けたのは、「クルマが滑って動かなくなるケースはチェーンの方が少なく、より確実な対策になると判断した」(国交省)ためという。
今回の誤解による拡散はデマやフェイクニュースほどの悪質なものではない。しかし、情報を共有する前に内容を確認することの重要性を問う出来事だったといえるだろう。
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