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コラム
» 2019年01月28日 18時10分 公開

競合と共存 CESで見た「プラットフォーム戦争」最新局面 (1/3)

Google、Apple、Amazonといったプラットフォーマー同士の競争は一段と過熱化している。しかし、彼らはただ競り合っているだけではないのだ。レイヤー化した局面を西田宗千佳さんが解説。

[西田宗千佳,ITmedia]

 数年前から、CESにおけるプラットフォーマーの影響は強くなる一方だ。以前は、「一番強い家電がスマホになった」ことが、プラットフォーマーの影響力そのものになっていた。だが、昨年からはもっと直接的に家電への影響が見えてきた。

 それがどんな状況だったのか? では、結果的に家電にどう影響するのか? その辺を改めて考えてみたいと思う。

この記事について

この記事は、毎週金曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年1月25日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額648円・税込)の申し込みはこちらから。


CES会場から見える「巨大プラットフォーム」の空中戦

 CESはマーケティングの最前線である。勢いのある企業が表に出てくるのは必然だ。いや、「勢いがあるとみせたい企業が前に前に出てくる」場所、と言った方が正しいかもしれない。

 「CES会場の風景」としてメディアに登場しやすい場所の広告価値は高い。その場所をとるには、カネとコネの力がいる。CESに長く出展している「セントラルホール組」と呼ばれる家電メーカーは、やはりある種の特権を有している。だから、お金を払うことで、表舞台に類する場所の広告を抑えやすい。

 この10年、定位置にいたのはソニーとSamsungである。ソニーは一時収益的に厳しい時期があったが、それでも世界に冠たる大家電メーカーであったことに変わりはない。Samsungは、世界最大の総合家電メーカーだ。だから、CESの顔はこの2社の広告が抑えていた。そして、その脇を固めるのが、その年「アピールしたい企業」だった、といっていい。自動車メーカーはいまもその場所にいる。今年姿が見えなくなったのは中国メーカーだ。まったくいないわけではなく、ファーウェイは大きな広告を出しているものの、ソニーとSamsungの間に割って入る勢いはない。これが米中貿易摩擦の影響か、はっきりとは言えない。しかし、CESの開催される「アメリカという市場」へのアピールにコストをかける意識に関して、中国メーカーの勢いが落ちたのではないか、という印象を抱かせるに十分な出来事ではある。

 一方、定番2社に割って入る強い意志を示したのがGoogleだ。というよりも、定番2社の片方、Samsungから、ついに定位置を奪うまでに至った。

photo 筆者の写真アーカイブから。2017年、CESメイン会場であるラスベガスコンベンションセンターのサウスホール前。表玄関にあたる場所だが、ここの広告はSamsungだった
photo 2019年、今年のサウスホール前。広告は「Hey Google」に入れ替わっている

 昨年来、GoogleはCES会場内に専用ブースを作り、Googleアシスタントとその連携製品をアピールしている。今年のブースの中にはわざわざ「ライド型アトラクション」があった。1週間に満たない会期のために、わざわざ専用のライドアトラクションを組み込んだブースを作るというのは、どれだけカネをかけたマーケティングなのだろうか? そして今年も、ラスベガスを走るモノレールは「Hey Google」のラッピング。CES全体で、最も巨額のマーケティング費を投じていたのがGoogleであるのは間違いないだろう。

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