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魚も「鏡に映る自分」認識できた 「驚きの発見」大阪市立大

» 2019年02月08日 11時52分 公開
[ITmedia]

 ホンソメワケベラという魚は、鏡に映った姿を自分だと認識できる――大阪市立大学の研究チームが2月8日、そんな研究結果を発表した。鏡に映る姿を自分だと認識できる能力は、チンパンジーやイルカ、カラスなどでも確認されているが、魚類では世界初という。同大学は「動物の認知や知性に携わる科学者の常識を根底から覆す、驚きの発見だ」としている。

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 ホンソメワケベラは、体に付いた寄生虫を取り去ろうとする習性がある。研究チームが、ホンソメワケベラの喉に寄生虫に似た茶色の印を貼り付けたところ、鏡に映った自分の姿を頻繁に確認するしぐさを見せた。さらに8個体中7個体が、鏡で茶色の印を見たときだけ、水槽の底で喉を何度も擦った。

 喉に印を付けないとき、透明な印を付けたとき、茶色印を付けても鏡がないときは、喉を擦らなかったため、研究チームは「鏡像を自分だと認識している」と結論付けた。また、喉を擦った後、再び鏡で確認するような姿勢をとった個体もいた。印を擦ったあと「寄生虫がとれたかどうか」を鏡で確認しているという。

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 研究チームの幸田正典教授(大学院理学研究科)は「魚類の記憶力や認知能力は低いといわれてきたが、われわれは魚に対し『大きな勘違い』をしていたのかもしれない。ヒト中心ではなく、魚類を含め脊椎動物の知性を見直すべきときが来ている」としている。

 研究成果は、米国の科学誌「PLOS BIOLOGY」(電子版)に2月8日付(日本時間)で掲載された。

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