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» 2019年02月15日 07時00分 公開

Gunosy、ビッグデータ活用で新領域へ 「機械学習の強み、オフライン市場でも生かす」

Gunosyが中長期ビジョンを発表。AI時代を勝ち抜くために、スマホ領域を超えたデータ活用の市場に参入する。

[村上万純,ITmedia]
グノシー Gunosyの竹谷祐哉CEO

 「これからはどんな産業にもAI(人工知能)が入っていくのは間違いない。自分たちの強みであるAIと機械学習を生かし、事業の幅を広げていきたい」――Gunosyの竹谷祐哉CEOは、こう話す。

 同社は2012年に設立し、メールマガジンでユーザーごとにパーソラナイズされたニュースを提供する事業を開始。13年に配信した情報キュレーションアプリ「グノシー」は19年1月時点で2700万ダウンロードを突破している。

 そんなGunosyは、1月15日に発表した「中長期ビジョン」で、AI×IoT時代におけるビッグデータの活用や、スマホアプリ領域を超えたさまざまなデバイスとの連携などを前面に打ち出した。

 竹谷CEOは「何をやっている会社か分からなくなるかもしれないが」と前置きしつつ、「時代のトレンドに合わせて自分たちの強みを生かし、小回りのきくスピード感で事業の幅を広げていきたい」と話す。

 Gunosyの強みは、経験豊富な機械学習エンジニアを多数抱えていることだ。アプリ内で配信するニュースのパーソナライズに機械学習を活用してきた同社は、ビッグデータを活用するAI時代に向けてメディア事業で培った経験をどのように生かしていくのか。

「データ活用」で企業のマネタイズ支援

 スマホアプリ領域を超えたデータの活用とは、具体的に何を指すのか。竹谷CEOは「オフラインでデータをうまく活用できていない業界や企業は多く、データの取得や活用といった仕組み作りでマネタイズの支援をできないかと考えている」と話す。

グノシー スマホアプリの領域を超えてデータの取得と活用を目指す

 例えば、美容院やタクシー車内などに配置されたタブレットで顔認識技術を用い、AIが利用客に合わせた広告を配信するといった例が挙げられる。竹谷CEOは「そうしたマネタイズの仕組みを一気通貫で作れる会社はそこまで多くない印象で、自前でアドサーバを作って広告主との関係性も築けている自社の強みを生かせる」と自信を見せる。

 「そもそもデータ活用といわれても、何をすればいいのかよく分からない部分がある。Gunosyはそこが明確で、ユーザーに価値あるサービスを提供し、それを利用するユーザー属性を把握し、ユーザーに合う広告を流すことだと考えている。優秀なデータサイエンティストを抱える企業でも、ビジネスに結び付けてマネタイズまでするのはなかなか難しい。Gunosyならそこまでできる」(竹谷CEO)

 こうした企業へのコンサルティング業務はあくまで新領域という位置付けで、同社が抱えるユーザーデータと他社データを結び付ける予定はないという。

 「まずは自社データを有効活用できていないことに悩んでいる会社を支援したい。無理に当社のIDとつなげるつもりはなく、必要に応じてデータを結合できればよいという考え」(竹谷CEO)

グノシー Gunosyが保有するデータ

「グノシーペイ」は現状考えていない

 また、「オフラインとの接点」という意味で竹谷CEOが目を付けているのがグノシーアプリで配信しているクーポン情報だ。同社は自社アプリ上で飲食店を中心に24ブランド112種のクーポンを提供、その規模は数万店舗に上る(2月現在)。竹谷CEOは「クーポンはオフラインへの送客装置として強力。そもそもある程度のユーザー規模がないとクーポンを提供してもらえないので、そういった意味でもアドバンテージがある」と話す。

 現在は自社アプリ上でユーザーの性別、年齢、位置情報、記事や広告への接触ログなどのデータを取得しているが、今後は店舗と関係を築きながら決済情報など「より深いデータ」を取得できるような取り組みを進めていきたいとしている。

 購買に近い部分でのユーザー接点を探る一方で、PayPayやLINE Payなどで過熱している決済市場への参入は考えていないという。「自社の強みや戦略とずれない範囲で事業を広げたい。そういう意味ではグノシーペイのようなものを始めて決済市場に自社単独で参入することはないと思っている」(竹谷CEO)と慎重だ。


 Gunosyは、AI時代におけるビッグデータ活用やマネタイズの仕組み作りを行うことで、テックカンパニーとしての存在感を示す考えだ。竹谷CEOは「全てのモノがネットでつながる世界で、いまある資産にこだわらずにAI技術を社会に還元するポジションを築いていきたい。オンラインだけでは市場が閉じてしまうので、次はオフラインの領域を開拓したい」と意気込む。

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