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不動産を買ったらお金持ちになったのか、お金持ちだから不動産を買ったのか渋谷豊の投資の教室(2/3 ページ)

» 2019年02月21日 13時18分 公開
[斎藤健二ITmedia]

渋谷: 不動産は、家賃収入(インカムゲイン)がベースになっているんですが、投資の世界の中で、このインカムゲインは一番予測しやすい、安定していると言われています。ところで、サイトウさん、最近いつ引っ越してどこくらい住んでいますか?

サイトウ: 5年くらいいまのところに住んでいます。

渋谷: ちなみに、その間に家賃交渉ってありました?

サイトウ: ないですね。

渋谷: そうなんです。一部の人は、好景気を理由に家賃交渉があったかもしれませんが、10万円の家賃が5万円になったとか、15万円になったとか、あまり聞いたことがありませんよね。リーマンショックのときも部屋を借りていましたよね? その時は不景気だからと家賃を下げてくれました? たとえば半分に?

 でも、株はリーマンショックのときに約60%も下がったんですよ。でも、家賃が10万円から4万円になったと聞いたことがありますか? 不動産へ投資するとき、家賃収入は当然上下するものの、今年は10万円、来年は20万円、再来年は5万円というようには動きません。そういう意味で収入の数字の読みやすさがあるんです。

 ではなぜ数字が読めるといいか。「シメシメ。毎月これだけ家賃が入ってくる」ということではなくて、不動産は多くの場合、借り入れを利用して買っているからです。

 1億円のアパートやマンションを買おうと思った時、1億円を現金で払う人は少なくて、何十パーセントかの頭金を入れて、残りは借り入れて買う場合が多い。投資家は、資金の効率を一番求めるから借り入れを利用します。1億円の現金で購入して5%の家賃収入で500万円を手にいれるか、2000万円の現金を使って8000万円借り500万円の家賃収入か。投資に利用した自己資金に対する収益率が全然違うんです。つまり、借り入れをうまく使える人が不動産で成功した人の特徴です。

 問題は、借り入れた金額の元本と金利を返さなければいけないこと。返す金額は決まっている。家賃収入も見えている。だから、買った時から大きく目論見が崩れることが、株などに比べて少ないんです。

不動産投資の失敗は、値上がりを期待したとき

 1億円の不動産で家賃収入が10%と見込んだとき、不動産自体の価値は5000万円になったり2億円になったりしますが、家賃収入は1000万円とほとんど変わらない。この家賃収入1000万円の中で、ローンの元本返済が300万円、金利が200万円、そして500万円が手元に残るときちんと論理的に計算ができていれば、保有期間中に不動産価格が変動しても長期で資産を作ることができるんです。

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