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» 2019年02月23日 13時09分 公開

特集・RPAで仕事が変わる:残業なくして乾杯♪ アサヒがRPAロボット量産に成功した理由 (1/2)

アサヒ飲料やアサヒビールを抱えるアサヒグループは、人事情報登録にRPAを導入して年間約1300時間の業務量削減に成功。現在は30ものグループ企業にさまざまなロボットを導入している。スムーズに展開できた理由は何か。担当者に話を聞いた。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 夏のビアガーデンにお中元、年末のお歳暮。飲料メーカーの繁忙期は季節の風物詩と共にやってくる。それは人事部門でも同じだ。

 「毎年8月の『さっぽろ夏まつり』では、大通公園に大きなビアガーデンを開きます。1カ月ほどの間に200人ものアルバイトを雇うので人事システムへの登録には時間が掛かります。でもバイトはイベントの期間だけ。数カ月後には同じ数の退職データが届きます」(アサヒプロマネジメント 人事業務部 給与グループチームリーダーの佐藤友紀枝さん)

アサヒプロマネジメント 人事業務部 給与グループチームリーダーの佐藤友紀枝さん(左)、同じく業務システム部企画グループでマネジャーを務める塚本早希子さん(右)

 佐藤さんが所属するアサヒプロマネジメントは、アサヒビールやアサヒ飲料といった飲料メーカーを擁するアサヒグループホールディングスのバックオフィスだ。グループ30社、社員1万7000人あまりの給与計算や勤怠管理などを一手に引き受けており、処理する人事データは年間約3万6000件に上るという。

 しかし、その仕事は効率的とは言いがたい状態だった。

書式の統一をしなかった理由

 「人事申請の場合、各社からExcelで作成した連絡票をメールで受け取り、内容を確認してから人事管理システムと勤怠管理システムに手入力していました。この2つは名前など重なる入力項目も多いので二度手間です。なにより、せっかく各社からデータで書類をもらっているのに生かせていませんでした」(佐藤さん)

 加えて冒頭で触れたような繁忙期も存在する。夏のイベントに加え、お中元やお歳暮のシーズンには物流を担当するアサヒロジがギフトのセットアップやドライバーとして大勢のアルバイトを雇う。年に数度のピーク時は人事業務部のメンバーが手分けをして処理していたが、対応できるのは午後11時30分まで。人事管理システムが夜間処理のために入力経路を閉じてしまうからだ。

 このような状況にあったアサヒプロマネジメントは、2017年から業務効率化の一環としてRPA(Robotic Process Automation)の活用に乗り出す。業務システム部企画グループでマネジャーを務める塚本早希子さんによると、17年秋ごろから各部署へのヒアリングと自動化に向けた業務の洗い出しを始め、18年の始めに人事情報入力ロボットを作成したという。

 RPAソフトはNTTデータの「WinActor」を使用。人の作業を記録してシナリオを作成でき、PC 1台から導入できる手軽さも特徴だ。

 しかし、課題があることも分かっていた。それは業務各社から届くExcelシートの書式がそれぞれ異なっていること。「会社ごとに管理したい項目は違います。当初は連絡票の書式統一も考えましたが、それでは各社の手間が増えてしまいます」(塚本さん)

 検討の末、RPAの読み取りに適した共通フォームを作り、Excelのマクロや関数を使って書式を変換する方法を採用した。作成した代替シートは、1社あたり5〜7種類。30社をカバーするのに手間と時間はかかったが、塚本さんは「導入期間をかなり短縮できた」と振り返る。「書式を変えた場合、各社との調整が必須になり、周知にも時間がかかっていたでしょう。でも書式をいじらなければ、代替シートを作成する時間だけ。現場に負担をかけることもありません」

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