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Facebook、「モデレーター」の悲惨さについての報道に「あれは珍しい例外」

» 2019年02月26日 12時10分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 「モデレーター」について「報じられた懸念は珍しい例外であり、決して一般的なことではないことを確認できるメカニズムを既に確立している」──。米Facebookのジャスティン・オソフスキ副社長は2月25日(現地時間)、米The Vergeが同日公開したモデレーターのインタビューに基づく「THE TRAUMA FLOOR The secret lives of Facebook moderators in America」(トラウマフロア 米国のFacebookモデレーターの秘密の生活)という記事に関し、こう語った。

 moderator

 モデレーターとは、Facebook上の問題のあるコンテンツの削除を判断する担当者のこと。同社はフェイクニュース拡散などについての批判が高まる中、パートナー企業を通して世界で多数のモデレーター(現在は約1万5000人)を採用し、問題のあるコンテンツのチェックを担当させている。

 この記事は、The Vergeのケイシー・ニュートン記者が3カ月かけてアリゾナ州フェニックスのオフィスで複数のモデレーターにインタビューし、それをまとめたものだ。これまでFacebookは具体的なパートナー企業の名を開示していなかったが、記事で紹介されているのは米コンサルティング企業のCognizantが雇用しているモデレーターだ。

 記事は、人が殺される動画やポルノなどを見て削除すべきかどうかを判断するトレーニングの段階で多数の候補者が脱落し、残ったモデレーターもPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状になる現状を紹介している。そうしたモデレーターのメンタルをケアするカウンセリングサービスなどはいっさいなく、週に2、3回失敗しただけでも解雇されるので常におびえていると語ったモデレーターもいる。また、陰謀論のコンテンツを読んでいるうちに、それを信じ始めてしまったと複数のモデレーターが語った。精神的にきつい仕事だが、年収は約2万8800ドル(約320万円)。

 オソフスキ氏は発表文で、「Facebookのコンテンツレビューに関しては、多くの疑問、誤解、告発があることを理解している」とし、問題が発生しないよう従業員のケアに優れた基準を持つ、信頼できるAccenture、Cognizant、Genpactなどのパートナー企業を選び、パートナー企業との合意には従業員のヘルスケアやサポートについて明示していると説明した。

 「それでも急激な増員で問題が発生するのは避けられないこと」だとし、契約の標準化やパートナーとのコンプライアンスと監査プログラムの確立などで状況を改善していくと語った。

 モデレーターについては昨年12月、The New York Timesが1400ページのマニュアルを入手し、問題点について報じている。

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