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» 2019年03月01日 19時31分 公開

CP+ 2019:「Nikon Z」はマウントアダプターで“万能”説? ソニーFEやキヤノンEFレンズも利用可能に

一番多くのレンズが装着できるのはNikon Zになるかもしれない。

[井上輝一,ITmedia]

 国内最大のカメラ見本市「CP+ 2019」(2月28日〜3月2日、パシフィコ横浜)では、マウントアダプターの新製品に「ある傾向」が見られた。ニコンのフルサイズミラーレスカメラ「Nikon Z」に、他社レンズをマウントしようという試みだ。

ソニーE→ニコンZマウントの「TZE-01」

KIPONのキヤノンEF→ニコンZ変換「CANIKON」マウントアダプター

 中国KIPONは、キヤノンEFマウントレンズをニコンZマウントに変換するAF(オートフォーカス)対応マウントアダプター「CANIKON」を初披露した。「3万円台で6月に発売したい」と展示担当者は話す。

キヤノンEFマウントレンズをニコンZマウントに変換するAF(オートフォーカス)対応マウントアダプター「CANIKON」

 これまでも各社のマウントに対応するマウントアダプターを作ってきたKIPON。「レンズとボディの通信プロトコルをキヤノン、ニコンからもらえなかったため、開発難易度が高かった」(担当者)という。

 それでも開発したのは、「EFレンズは種類が豊富にあることと、Nikon Z6/Z7の評判が良いことの2つが理由だ」(担当者)

 実機で試すことはできなかったが、AF速度については「望遠は(合焦速度が)少し変わるかもしれないが、それ以外は純正とほぼ変わらない」とした。

ソニーE→ニコンZマウントアダプターも登場 E向けマウントアダプターとの組み合わせも

 各社マウントアダプターメーカーの製品を取扱い、販売する焦点工房のブースでは、ソニーのフルサイズ向けEマウントレンズをニコンZマウントで利用可能にするAF対応マウントアダプター「TECHART TZE-01」を世界初披露した。価格は2万5000円(税別)で、6月に発売する。

ソニーのフルサイズ向けEマウントレンズをニコンZマウントで利用可能にするAF対応マウントアダプター「TECHART TZE-01」
ボディ側の面

 フルサイズミラーレスマウントからフルサイズミラーレスマウントへ変換するAF対応マウントアダプターとしても、世界初の製品となる。

 TZE-01を利用すれば、Nikon ZボディにソニーEマウントレンズを装着してAF撮影できる。

Nikon Z6にTZE-01を介し、「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を装着

 さらにTECHART製のライカMマウント→ソニーEマウントのマウントアダプター「LM-EA7」や、キヤノンEFマウント→ソニーEマウントのマウントアダプター「TCS-04」を重ねて使える。これにより、Nikon ZボディでEFレンズやMレンズのAF撮影も可能になるという。

 今後はレンズとPCを接続するUSBドックを提供し、対応レンズを増やすファームウェアアップデートなども配信する予定だとしている。

 TZE-01の実物を見ると、フルサイズミラーレスからフルサイズミラーレスへのマウント変換とあって相当薄い。

詳しいスペックは明かされなかったが、後述する理由から最薄部は約2ミリと考えられる

 実機で試したところ、「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」や「FE 24-105mm F4 G OSS」とTZE-01、Nikon Z6の組み合わせではかなりきびきびとピントが合う(合焦する)印象を受けた。

 さらにLM-EA7を重ねた場合、LM-EA7自体がレンズを前後に動かすことでピントを合わせに行く。レンズ内蔵のAF機構は用いないため、Mマウントへ変換するさまざまなマウントアダプターを用いることで各種マウントのレンズでAF撮影ができるようになる。

 ただ実際に試してみると、TZE-01との組み合わせについては開発中のためか、近距離では合焦しても無限遠ではずっとピントに迷ってレンズが前後を繰り返す動作も見受けられた。

Nikon Z向けにミラーレス→ミラーレスマウントアダプターが出てくる理由

 Nikon Zがマウントの変換先としてマウントアダプターメーカーから選ばれているのは、KIPONの言うようにボディの性能が評価されていることももちろんあるだろうが、技術的な大きな要因としては「フランジバック」と「マウント径」が挙げられる。

フランジバック最短、マウント径最大

 フランジバックはレンズマウント面からイメージセンサーまでの距離を表す。一般的に、一眼レフはミラーボックスがあるために長いフランジバックを設定しており、対するミラーレスにはその名の通りミラーがないため、フランジバックは概して短い(例外として、ミラーレスにもかかわらず一眼レフ向けマウントのシグマSAマウントを採用している「SIGMA sd Quattro」などもある)。

 あるマウントに向けて設計されたレンズは、そのマウントのフランジバックでなければ正しくピント合わせができない(無限遠に合わないなど)。

 マウントアダプターの基本的な役割の一つは、このフランジバックを合わせることだ。長いフランジバックで設計されている一眼レフ向けレンズに、適切な長さのマウントアダプターを挟むことで、ミラーレス側のイメージセンサー面に光がうまく結像するというわけだ。

 短いフランジバックであるフルサイズミラーレスの中でも、Zマウントは16ミリで最も短い。一方のソニーEマウントのフランジバックは18ミリであることから、厚さ2ミリの隙にマウントアダプターを差し込む余地がある。

 しかし、2ミリの隙間にAFに必要な電子部品を詰め込むのはやはり難しい。ここで効くのが、ZマウントとEマウントの径の差だ。

 Nikon Zのマウント径は55ミリとフルサイズミラーレスの中で最も大きい。これに対してソニーEマウントは46ミリ。この差である9ミリ分、Zマウントの内側に部品を実装するスペースが確保できる。

 フランジバックとマウント径のわずかな差に目をつけて、フルサイズミラーレスからフルサイズミラーレスへのマウントアダプターを製品化したのがTZE-01ということだ。

「レンズのレパートリー」王者はソニーからニコンに?

 焦点工房の展示担当者は、「TZE-01の狙いは、Nikon ZでソニーE向けのマウントアダプターを利用できるようにすること」だという。

 各社フルサイズミラーレスの中でも先駆けてソニー「α7」が発売されていたため、過去のフルサイズ向けレンズ資産をフルに活用にすべく、さまざまなマウントからソニーE向けに変換するマウントアダプターが発売されている。

 こうした各種マウントアダプターは、今後Zマウント向けにも発売されていくと期待できる。しかし、先にソニーEからNikon Zへのマウントアダプターを用意することで、α7系で利用できるレンズ資産をそのままNikon Zで利用できる可能性が一足飛びに開けた。

 もちろんただちに全てのレンズが利用できるようになるというわけではなく、非純正のマウントアダプターという性質上、動くレンズもあれば動かないレンズもある。当然、純正レンズ同等の速度での動作は見込めない。

 それでも、まだまだZマウントレンズがそろわない中、ニコンFマウントレンズに加えてさらに使えるレンズが増えるのは、フルサイズミラーレス市場においてニコンの追い風になるのではないだろうか。

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