4月1日に政府が発表した新元号「令和」は、日本最古の和歌集である「万葉集」の出典だという。しかし、中国の古典に詳しい一部ネットユーザーからは、中国の詩文集「文選」(もんぜん)までさらにさかのぼれるのではないかという声が上がっている。
万葉集巻五「梅花歌三十二首」には、詩歌の背景や趣旨を説明する「題詞」の中に「于時初春令月 氣淑風和」(時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ)という語句があり、「令和」はこれを出典としたとしている。
しかし、これと似た漢文が、万葉集(780年頃成立)以前の中国の詩文集「文選」(530年頃成立)にある。
文選巻十五に収められた、後漢の文学者であり科学者の張衡(ちょうこう)が詠んだ「帰田賦」には、「於是仲春令月 時和氣清」(これにおいて、仲春の令月、時は和し気は清む)とある。
「ブリタニカ国際大百科事典小項目事典」や「大辞林 第三版」によれば、「日本に早くから伝わり、日本文学に大きな影響を与えた」とあることから、梅花歌三十二首の題詞の著者が文選を参考にした可能性がある。
日本の元号は「平成」まで、出典が明らかなものについては全て中国の書物が典拠だとされている。
「令和」は初めて国書を典拠とする元号となったが、その源流にはやはり中国があるのかもしれない。この機に日本や中国の古典を読み解くのも面白そうだ。
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