囲碁AIを活用した研究は、既に一部の棋士の間では盛んに行われている。GLOBISーAQZも、日本棋院が運営するネット対局サービス「幽玄の間」に棋士の対戦相手として導入する他、囲碁の研究に活用できるような形での提供も検討しているという。
普段からAIを使って研究するという上野愛咲美女流棋聖は、「私はAIを使うのが好きで、布石や中盤の感覚などが改善されたと思いますし、成績もちょっとよくなった気がします。新しいAIを使えることをとても楽しみにしています」と期待を寄せる。
本プロジェクトにテクニカル・アドバイザーとして参画する大橋拓文六段は、「AlphaGoが登場したことで囲碁の世界は180度変わりました。世界と戦うにはAIを活用することが大事だと棋士として痛感しています。AIは強い方が良いと感じていますが、活用の仕方はまだ手探り状態といえます」とコメントした。
将来的には子供たちでも使えるように、GLOBISーAQZのソフトウェア化も考えているという。日本棋院の理事も務めるグロービスの堀義人社長は、「これからは囲碁AIネイティブの棋士が出てくるでしょう。これまでとは全く違う打ち方をする新たな棋士が出てくることで、中国や韓国との対戦で優位な状況を作れればと思います。10歳以下でも囲碁AIを使えるようにしていきます」と展望を語った。
8月の世界大会が終わった後は、GLOBISーAQZのプログラムをオープンソース化する予定だ。プロジェクトを終了するわけではなく、適宜アルゴリズムを改善していくという。
堀社長は「囲碁AI開発を行うことは、自動車メーカーがF1に参戦するようなもの。F1の世界では、世界一を目指すことでエンジンやパーツなどに大きなイノベーションが生まれました。GLOBISーAQZプロジェクトの波及効果で生まれたテクノロジーを教育や経営などにも役立てていきたいと思います」と意気込みを語った。
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