角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)は5月22日、部員が株式投資を体験できる「N高投資部」を設立すると発表した。金融教育の一環で企業動向の読み解き方や資金運用術を伝授する狙いがあり、特別顧問には旧「村上ファンド」代表の村上世彰氏が就任。同氏が創設した「村上財団」から全部員に20万円を提供する。部員は村上氏のアドバイスを受けつつ、東京証券取引所の上場銘柄を売買しながら投資を学んでいく。
活動終了時に損失が生じた場合も部員が補填する必要はなく、残っている元本を財団に寄付するだけでよい。利益が出た場合は、元本のみ財団に寄付し、利益は部員の取り分となる。利益を得た部員は村上氏と相談した上で、さらなる投資や海外周遊など、教育的意義がある活動に資金を使っていくという。
22日の会見で村上氏は「単に株式投資をするだけではなく、もうかった時や損した時にどんな心境の変化があったか、どう自分が進化したかを感じてほしい。お金に親しみを持ってもらえるように(授業を)やっていく」と意気込みを語った。
同日から部員を募集し、小論文試験などを課して50人に絞り込む。6月中に入部者を確定させ、7月〜2020年2月にかけて活動する予定。村上氏は資金提供、オンライン・オフラインでの講義、レポート添削などを担当する。N高側は村上氏の講義とは別に、投資に必要な数学的知識に関する授業も開講する。
投資活動は個々人で行うが、グループワークも実施。部員は5人1組のチームを作り、チャットツール「Slack」上で(1)情報交換、(2)失敗・成功体験の共有、(3)企業研究――などを行う。チームで投資先の社長を訪問したり、株主として企業に改善策を提案したりする場合もあるという。
ドワンゴの夏野剛社長は「日本人はどうしても『貯蓄は美徳』という概念が根強いが、授業を通じて『投資は悪ではない』と知ってほしい。現状、学校教員にも投資経験がある人が少ないため、今回はプロを招いた。部員は単なるギャンブルにならないよう、数学の知識や考え方など、根本から投資を学んでほしい」と語った。
N高3年生の男子生徒は取材に対し、「入部試験を通過できれば、元本を倍にできるよう頑張りたい。最低でも元本を割らないようにしたい。投資に興味はあったが資金集めが難しかったので、元本を提供してもらえるのはありがたい」と語った。
投資先は決めていないが、「自分は今も『niconico』の有料会員。今はドワンゴの業績がやや不調だと聞いているので、親会社のカドカワの株を買って応援してもいいかな」(男子生徒)という。
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