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「僕が逮捕された事を知っていますか?」 村上世彰氏がN高で講義、投資と歩んだ半生語る(1/3 ページ)

» 2019年05月22日 20時36分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 「僕が逮捕された事を知っていますか?」「その理由を知っている人はいますか?」――。投資家で旧「村上ファンド」代表の村上世彰氏は5月22日、角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校「N高等学校」(N高)の生徒向けに開いた特別講義で、生徒にこう問いかけた。

 村上氏は同日、N高が金融教育の一環で設立した「N高投資部」の特別顧問に就任。生徒が東京証券取引所の上場銘柄を実際に売買して投資のノウハウを学ぶ課外活動で、同氏は全部員に20万円を提供する他、オンライン・オフラインでの講義、レポート添削などを2020年2月まで担当する予定だ。

「自分も生徒も成長を」

 06年にインサイダー取引で逮捕され、有罪判決を受けた後は、シンガポールに活動拠点を移していた村上氏。長らく表舞台から遠ざかっていたが、昨今は日本国内での活動を再開している。今回は「(授業によって)自分も成長したいし、生徒にも成長して喜んでもらいたい」との思いから特別顧問への就任を決めたという。

 N高は22日から部員を募集し、小論文試験などを課して50人に絞り込む予定。入部に興味がある学生に対し、村上氏の人となりや投資の心構えを伝える目的で開いたのが冒頭の講義だ。村上氏は対話を重視し、自身の体験談を交えつつ、生徒に問いかけたり、質問に答えたりしながら授業を進めた。

photo N高の特別講義に登壇した村上世彰氏

堀江さえいなければ逮捕されなかった。でも友達だ

 村上ファンド事件が起きた約13年前は、いまの高校生は物心つくかどうかの年齢だが、冒頭の質問に対し、50人超が詰めかけた教室内では数人の手が挙がった。逮捕された理由について「インサイダー取引」と答えた生徒もいた。

 第三者が企業の5%以上の株を買い集めることを知っている関係者が、その事実が公になる前に株の取引を行うことはインサイダー規制違反に当たる。村上氏は当時、ニッポン放送株を大量に購入するというライブドアの決定を知った上で、利益を得るためにニッポン放送株を追加取得したのではないか――という旨で罪に問われ、有罪判決を受けた。

 村上氏は当時を振り返って、「堀江(貴文氏)がたった一言、『フジテレビがほしい』『ニッポン放送(の株)を買うことはできますか?』と言っただけ。何のインサイダーでもない」と冗談めかして説明。「僕は当時『堀江ごときに買えるわけがない。お金もないし』と思っていた」と明かした。

 ライブドアが当時、総額800億円のMSCB(株価変動を反映し、転換価額を修正できる条項が付いた転換社債)を発行し、リーマン・ブラザーズに買い取ってもらう――という方法で資金調達したことにも言及し、「めちゃくちゃなメカニズムだ。そんなことをするなんて知るわけがない」と告白。

 「堀江さえいなければ僕は逮捕されなかった。でも(堀江氏は)友達だ。彼に悪気があったわけじゃない」と熱を込めて語り、場内を沸かせた。

photo 村上世彰氏の講義に聞き入るN高生
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