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「僕が逮捕された事を知っていますか?」 村上世彰氏がN高で講義、投資と歩んだ半生語る(2/3 ページ)

» 2019年05月22日 20時36分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

父におねだりで100万円

 村上氏は講義で自身の半生に触れ、「僕はそこそこ裕福な家庭に生まれ、お金をためることと商品の値札を見ることが大好きで、モノを買うことは嫌いだった」と振り返った。

 「お年玉などをコツコツためて、20万円くらいまで貯金したかな。でも、もっとほしかった。投資家だった父親に『おかねちょうだい』と何度も頼んでいたら、小学校3年生の頃に『いくらほしいんだ。言ってみろ』と聞かれ、帯が付いた100万円分の札束をもらった」

 当時は有価証券報告書の読み方も分からなかったが、父親にもらった100万円を元手に、「いつも食卓にあったから」という理由でサッポロビール株を2000株購入。これが“投資家デビュー”だったという。

 また、村上氏が1〜2歳の頃から、父親が生前贈与の一環で同氏名義の株を買っており、「三井不動産や近鉄などの株も大量にあり、30〜50倍に値上がりした」そうだ。こうした体験を積むうちに株価が上下するプロセスに興味を持ち、村上氏は中学生から「会社四季報」を読み始めた。

photo ドワンゴの夏野剛社長(=左)と村上世彰氏(=右)

 ただ、高校生の時、同和鉱業(現・DOWAホールディングス)に投資した際、一時は10倍ほどに値上がりしたものの、売り時を逃して利益額を大幅に減らしてしまった。その時に村上氏は、父親から「上がり始めたら買え。下がり始めたら売れ。一番安い値段で買えると思うな。一番高い値段で売れると思うな」との言葉を掛けられ、今も哲学として大切にしているという。

 こうした体験もその後の糧になり、大学卒業時点で資産は数十億円に拡大。村上氏は生徒に失敗も必要だと説き、「N高投資部では、どんどん損をして(銘柄の保有を)やめるという選択をしてもいい。失敗を経験することで、何が世の中で起きているのかを考えるようになってくる」と語りかけた。

対話を通じてアドバイス

 講義では村上氏がN高生に、「投資部に入ったら、どんな銘柄を買ってみたい?」と質問する一幕もあった。これに対し、生徒は「これからもっと伸びそうだから、電子決済の会社です」「起業に高度な人材を派遣する会社です」「介護のアルバイトをしているので、介護会社に投資してみたいです」――などと思い思いの意見を述べていた。

 答えを聞いた村上氏は、「人材派遣のように、企業の人手不足を解決しながらお金を回している会社は劇的に伸びそうだね。でも、有望な介護の会社はあまり上場していない。自分がやりたい仕事と、投資したい会社は分けたほうがいいかもしれないよ」などと丁寧に論評。

 「今は“イケてない”会社でも、2〜3年後、5年後、10年後には変わっているかもしれない。まずは2〜5年後に人々が『いいね!』と言いそうな会社に投資すると収益を上げやすい。海外から来た労働者を支援する会社はいいかもね」と初心者に必要な視点をアドバイスした。

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