日本企業の一部が徐々に量子コンピュータへシフトする中、先陣を切るMDRは次の一手をどう考えているのか。
「今年は論文執筆に力を入れたい」と湊さん。
「企業の実績は、うまくいけばいくほど何も話せなくなる。今も9割5分は何も話せない。ImPACTプロジェクトでPM補佐をしていたことも、今でこそ話せるが当時はやっていることすら言えなかった」(同)
「ソフトやハードの実装も大事だが、実績を公表できる形にするためにも論文執筆を大事にしていきたい」──本当は量子コンピュータの知見をもっと共有したいと湊さんはいう。これまでもQiitaや自社のブログで量子コンピュータの技術紹介記事を書いたり、書籍を執筆したりすることで量子コンピュータの技術を啓蒙してきたが、内容を進めて論文にすることで、信ぴょう性をより担保したいと話す。
事業としては誤り訂正技術の模索の他、量子コンピューティングの機械学習への適用を一つの重点課題として進める。
金融分野のセキュリティや、材料分野の組み合わせ計算には量子コンピューティングを直接適用できるが、汎用性が高いとはいえない。
機械学習での学習過程など時間のかかる計算へ量子コンピューティングを適用できれば、機械学習を必要とする多くの業種で活用する道が開ける。
19年現在、MDRは15人程度の少数精鋭で量子コンピュータのフルスタック開発に取り組んでいる。
米GoogleやIBM、中国AlibabaのようなITの巨人たちが量子コンピュータ企業としてしのぎを削る中、先見性と実装力でMDRは世界と戦う。
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