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「これぞGR」 小さくてサクサク撮れるストイックなカメラ、リコー「GRIII」荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/3 ページ)

» 2019年07月06日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]

削れるものを削って誕生したミニマムなGR

 で、見た目的にGR IIIはGR IIのマイナーチェンジかなと思っていたら、けっこう違うのである。予想以上に中身が進化し、予想以上にストイックになってたのだ。

 イメージセンサーは約2400万画素のAPS-Cサイズ。GRIIの約1600万画素からぐっと増えた。これは今のAPS-Cサイズセンサーのトレンドが2400万画素なので順当な進化だ。

 GRは28mm相当の広角単焦点なので、ちょっと広すぎることもある。そういう時のためにクロップモードが用意されている。それをFnキーに割り当てればボタン一つで28mm→35mm→50mmと切り替わる。

 画素数が増えた分クロップしたときの実用性が上がった。35mmクロップ時で約1600万画素弱、50mmクロップ時で約800万画素弱。1600万画素相当あれば十分に実用的……というかGR IIと同じ画素数なわけであるから問題ない。

 28mm相当と35mmクロップの差はこんな感じ。いつものガスタンクで。コントラストがちょっと弱そうに見えるのは、天候の関係で、大陽に薄く雲がかかっちゃってたから。

小さいレンズだけど、中心も周辺部もしっかり解像しててすごい。いやもうこのサイズでこれだけ写ったらたまらんですわ(1/250秒 F8 ISO100)
35mmクロップ(中央部をクロップしただけなので写りは28mmのときと同じだけど)で。元のディテール描写がしっかりしてるから多少クロップしてもまったく問題なく使える(35mm相当 1/250秒 F8 ISO100)

 光学ズームはなくても、気軽にクロップすればよいのだ。

向かい合った招き猫がいたので、50mm相当にクロップして絞り開放で。後ろのボケもよし。柔らかい感じにしたかったので+1の補正をかけて撮影(50mm相当 1/100秒 F2.8 +1 ISO200)

 注目はボディ内手ブレ補正を搭載したこと。ボディをGRIIより小さくしてボディ内手ブレ補正を入れたってのがすごい。

 夜のスナップにも良い。

夜の数寄屋橋をスローシャッターで撮影。超強力ってほどではないが、手ブレ補正の威力はデカい。しかも黒はぎゅっと締まってるし、光源の一つ一つもしっかりしててシャープ(1/13秒 F4 ISO400)

 GRは日常的に持ち歩いてはっと思った瞬間を切り取るためのカメラなので手ブレ補正は重要だ。

 電源オフ時にGRを振ると中でレンズが揺れる音がするが、これはペンタックスの手ブレ補正の特徴なので気にしなくていい。

 さらに起動が速いので、さっと取り出してしゅっと撮れる。公称で約0.8秒。使ってて体感的に早いと感じるレベルだ。

 AFも像面位相差とコントラスト検出のハイブリッドになり、快適になった。これは良い。

 タッチAFもレスポンスが良いので、さっと電源を入れて合わせたいところにさっと触れて撮る一連の操作が気持ちよい。「スナップシューター」を突き詰めたGRならではって小気味良さだ。

オートAFでは少々心もとないところもあるが、タッチAFを使えば瞬時に任意の場所にフォーカスを持ってくれる。これも陽射しがあたった白いところの階調もきれいだし、ボケ方もきれい(1/500秒 F5.6 ISO200)

 撮影最短距離もぐっと短くなった。

 GR IIは標準でレンズ前から30センチ、マクロモードで10センチだったが、GR IIIは標準でレンズ前10センチ、マクロモードで6センチとぐっと寄れる。

 ただ、マクロ時はフォーカスの合う距離が6〜12センチに限定されるので注意。

マクロモードにしてギリギリまで寄って雨に濡れたアジサイ(1/50秒 F4 ISO100)

 ISO感度はISO100から最高で10万まで。なんと10万とは、まるでペンタックスの一眼レフみたいだ、というか、今はペンタックスもリコーなんだけど。

 例によって高感度時の比較を。ISO102400までとはいえ、実用レベルではISO12800が上限で、できればISO3200まで抑えたいってところか。

ISO800-6400
ISO12800-102400
夜景を。1/8秒のISO2500。ISO3200までなら気にしなくて使えるし、シャドウ部がぎゅっと締まるので夜スナップにすごくいいかも(1/8秒 F5.6 ISO2500)

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