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「これぞGR」 小さくてサクサク撮れるストイックなカメラ、リコー「GRIII」荻窪圭のデジカメレビュープラス(3/3 ページ)

» 2019年07月06日 07時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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今までで一番ストイックでシャープなGR

 「GRらしさ」の一つにストイックさがある。外せる機能やモードはできるだけ省き、ギリギリの大きさで性能を追求した、プロのセカンドカメラ、あるいはプロのスナップカメラだ。

 GR IIIを見て最初の感じたのは「ここまでそぎ落としたか」という感動。

 モードダイヤルを見るとよく分かる。

 撮影モードには、見慣れたフルオート(緑色のポジション)と動画モードがなくなり、P、Av、Tv、M(プラスカスタム)だけなのだ。なんてシンプル。

 「モードを減らす」ってのはなかなかできることじゃない。喝采したい。

上から。アクセサリーシューの左にあった内蔵フラッシュは省かれた。モードダイヤルからはフルオートと動画ポジションを削除

 動画機能はなくなったわけじゃなくて、側面にある動画ボタンを押すと動画モードになるわけだが、それもフルHD止まり。動画より静止画重視のカメラなのは間違いない。

側面に動画ボタンがある(長押しすると無線LAN起動)

 今回、イチから見直したフルモデルチェンジだそうで、それにともなって撮影モードも見直されている。

 基本操作はグリップ部にあるダイヤルと、背面にあるADJ/露出補正レバーで行う。伝統の快適な操作系と、軽くて押しやすいシャッターは健在だ。

伝統の位置にある前電子ダイヤル
伝統の位置にあるADJ/露出補正レバー

 背面は3型のタッチパネル対応モニター(タッチパネルのレスポンスは快適)。EVFはなくモニターも固定式だ。

背面。モニターの右にFnキーやロータリーダイヤル(これはあまり使わないかも)など。再生ボタンは親指が当たる場所に
Fnボタンなどに任意の機能を割り当てられる

 背面のレバーは左右に倒すと露出補正。

 押し込むとメニューが表示され、機能を割り当てられる。デフォルトではアウトドアモニター(背面モニターの明るさを変えられる)、フォーカスがセットされているが、さらに3つ追加できる。

 これがなかなか快適である。

レバーを押すとADJメニューが現れ、5つまでセットできる。設定4と5はプリセット。5つとも入れ替えてもいいし、1〜3を追加してもいい。ただ、どんな機能でも割り当てられるわけじゃないのは残念

 そのうちの一つをイメージコントロールに割り当ててみた。

 4種類(モノトーン、ソフト、ハード、ハイコントラスト)のモノクロモードがなかなか良いので、いつでも切り替えられるように、だ。GRを使っていると、ただ目の前にあるものを撮るだけじゃなくて、そこに自分の意思を入れたくなる。特にモノクロは、余計なものをそぎ落として光と影だけにぎゅっと凝縮できて良いのだ。と大げさなことをいいつつ、作例は古墳ですが。

畑の中にぽつんと盛られた古墳と雲のかかった空を光と影だけで表現したいと思ってハードモノクロームにしてみた。古墳カッコいい(1/800秒 F5.6 ISO200)
今回の人物作例はモノクロで。ソフトモノクロームでAFは顔検出(1/1600秒 F2.8 ISO200)

 バッテリーの持ちはCIPA規格で約200枚と小さいこともあってそれほど良くはないが、USB Type-C端子を使ってUSB充電ができる。

 BluetoothとWi-Fiを搭載するも、製品発売時はスマートフォン用アプリが間に合わなかったなど(4月のアップデートでWi-Fiでの接続は可能になったが、Bluetooth対応はまだ)ちょいとアレなところはあるけれども、それでも評価が全然落ちなかったのはすごい。

スマホでは撮れない写真を撮れるかは手にした人次第

 まとめると、GR IIIはAPS-Cセンサー搭載で手ブレ補正があって、当然ながら画質も良い上に、撮影時の質量は約257グラムと軽くて薄い「小さくて超高画質でサクサク撮れてなおかつストイックでカッコいいカメラ」だ。それは間違いない。

 小さくてカッコいいってだけで選んでも良いけど、下手なレンズ交換式カメラより良いので、満足できるクオリティーで撮れるスナップ機として写真を楽しみたい人にお勧めしたい。

 まあ、28mm単焦点って意外と難しく、ごまかしが効かない(撮る人の感性や腕があらわになっちゃう)ので誰が勝手も幸せになれるかというとアレだけれども、3代目にして、今までで一番GR的で、作品撮りに求められる機能がぎゅっと凝縮された名機なのは断言したいのである。

 いやもうほんとにこれを手にすると、自分ならでは視点、感性を封じ込めた写真を撮りたくなります。

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