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» 2019年07月10日 07時30分 公開

「フリーランス」は老後をどう設計するべきか (1/2)

ITライターの小寺信良さんは55歳。老後をどう設計するのか。

[小寺信良,ITmedia]

 7月上旬に金融庁が発表した「老後資産が2000万円必要」という試算が、波紋を広げている。すでに現時点で2000万円足りないのであれば、現在の年金給付を抑えて未来の年金給付へスライドさせ、平均化する改革は難しくなる。政府としては火消しに必死だが、別の試算では3000万円近く必要という数字も飛び出すなど、すでに炎上状態にある。おそらく参院選の争点にもなるだろう。

photo 日本年金機構

 すでに年金は、払った額ほどはもらえないことは確定している。なぜならばこの制度は未来の自分への積み立てではなく、現役世代が老後世代へ今お金を送る、「仕送り制度」にしか過ぎないからだ。払う側の人数が多く、受け取る側の人数が少なければ成立するが、逆転すれば破綻する。そのため年金事業は資産運用をして不足分をカバーしようとしたが、それも失敗して傷口を大きくしてしまったのが、現在の年金破綻に至る道筋である。

 それはすでに多くの人がご存じのところだとしても、今回の2000万円が騒動になったのは、この2000万円という数字が非常に生々しい金額だからである。2017年に総務省が発表した家計調査報告によれば、1世帯当たりの貯蓄額の平均値は1812万円。

 みんなそんなに貯金しているのかと驚かれるかもしれないが、実際にはこの数字を引き合いに出すのは正しくない。なぜならば、この調査における貯蓄額は、金融機関への現金貯蓄だけでなく、生命保険等の掛金等も含まれるからである。生命保険は死亡すれば支払われるが、生きているうちに使えるお金ではない。

 つまり、今手元に2000万円の現金預貯金がない状態で運悪く長生きしてしまったら、生命保険の保険料払い込み期間完了を待って解約し、解約返戻金を手に入れるという方法もあり得る。死亡した時の保険金はなくなるが、生きているうちに迷惑をかけたくないという人は、そういう選択をするケースが増えるだろう。今度は、生命保険というシステムが破綻する可能性も出てくる。

photo ライフステージに応じて発生する費用等の例(金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書より)

 筆者は今55歳なので、保険料支払期間完了まであと5年。一般的に定年と言われる年齢まではあと10年ある。現在持病らしい持病もないようだし、あと10年ぐらいは生きていられそうだ。

 最悪のケースを想定していくと、10年後に現在かけている生命保険を解約すると、だいたい1500万円ぐらいは手に入るだろう。それ以降の病気・入院の際は掛け捨ての損害保険でカバーするとして、あと10年かけて残り500万円をなんとかするという事になる。

 ただ、現在育ち盛りの子供が3人、10年後には一番下の子が22歳。残り10年で500万円の貯金も、怪しくなってくる。そうなると、65歳でハイ定年、というわけにはいかなくなる。

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