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» 2019年07月19日 07時30分 公開

ビジネスとブロックチェーンの関係 AWSジャパンに聞く (1/3)

ソニー・ミュージックがAWSとブロックチェーンを組み合わせた著作権処理・管理システムを発表した。実ビジネスにブロックチェーンを組み込むということはどういうことなのか。AWSジャパンに聞いた。

[山崎潤一郎,ITmedia]

 仮想通貨(暗号資産)「ビットコイン」の中核技術である「ブロックチェーン」(分散台帳技術)のビジネス利用が叫ばれて久しい。改ざん耐性を備えた高セキュリティのデータベースや処理システムを低コストで構築できるという点が注目され、導入に向けた動きが活発化している。

 導入検討はビジネスシーンだけでなく行政機関にも及ぶ。例えば総務省などは、2017年から「ブロックチェーン活用検討サブワーキンググループ」を設け、行政手続きなど公的な分野にもブロックチェーンの活用を検討している。中間答申の「取りまとめ」では、法人設立手続、電子自治体、IoT機器のセキュリティ対策、医療データの共有などへのユースケースが提案されている

 このように官民上げて利活用が検討されているブロックチェーンだが、一般的にはビットコインの存在とセットで語られることが多いだけに、暗号資産関連の技術がどのような形でビジネスや行政活動に活用できるのか、直感的に理解できない向きも多いのではないか。筆者などはその典型で、ブロックチェーンという言葉を聞くと、人々の欲望と地続きになった中国マイニング工場の膨大な数のGPUが並ぶ写真がチラつき、どうにも「ビジネス活用」とは結びつかない。

 そのような折、ソニー・ミュージックが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)上におけるブロックチェーン技術を利用した音楽の著作権処理・管理システムの構築を発表した。AWSに限らず、ブロックチェーンのビジネス利用は、海外の金融・保険系サービスでの事例が先行していただけに、日本を代表する音楽レーベルが「著作権処理に利用」というユースケースに興味を惹かれた。

 ただ、残念なのは「まだ詳細を説明する段階にはない」(ソニー・ミュージック)ということで、個別取材は断念。その代わりと言ってはなんだが、ここでは、AWSのブロックチェーン関連サービスに焦点を当てつつ、ビジネス活用について筆者の実体験を交えながら考察した。

photo ソニー・ミュージックのブロックチェーンを活用した音楽制作プラットフォーム「soundmain」の予告サイト

バズワードの段階は終わり、実装に向けた動きが活発化

 AWSのブロックチェーンの説明の前に、ブロックチェーンにおけるビットコインのそれとビジネス利用との差異を理解しておきたい。まず、ビットコインのブロックチェーンは、管理主体がなく、誰でも取引情報を閲覧し参加が可能なパブリック(オープン)型と呼ばれている。高い透明性が確保されているものの、拡張性や安定性が議論の対象になり、それが原因の内ゲバ騒動で分裂が生じるなどしている。

 2017年8月のビットコインとビットコインキャッシュにおける分裂騒ぎは、一般のニュースでも話題になったのでご記憶の方も多いだろう。さらに、取引承認の厳格化のために、複雑で膨大な計算を要するため台帳への書き込み(承認)に約10分の時間を必要としたり、その処理に膨大な電力消費を伴うといった、負の側面も目立つ。電気代が安価とされる中国にマイニング工場が集中している理由もここにある。

 その一方、ビジネスでの活用を目論むブロックチェーンは、クローズド(プライベート、コンソーシアム)型に分類されており、管理主体が存在し、承認された組織だけが参加、情報を閲覧・検証する権利を有しているので、高い取引スループット、安定性、低遅延性、高エネルギー効率が実現できるという。このブロックチェーンの特徴と利点を、企業、企業ブループ、業界団体、企業と消費者などの間での情報処理・管理、データベース運用、処理業務などに活かそうというムーブメントがブロックチェーンのビジネス活用というわけだ。

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