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» 2019年07月28日 08時30分 公開

Googleさん:10億人超えのGoogleフォトを支える人々が考えていること

悲劇のSNS「Google+」の1機能から始まった「Googleフォト」。ついに月間ユーザー数が10億人を超えました。Google+からの独立の経緯やなぜ収益化しないのかなどを立役者のGooglerが語りました。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 「Googleフォト」のユーザー数が10億人を超えたそうです。Googleのサービスとしては、Google検索、YouTube、Android、Chrome、Gmail、Googleドライブ、Googleマップ、Google Playストア(順不同)に続く9番目。

 photos

 2015年のデビューから約4年で10億超えはなかなかのものです。例えばYouTubeでも2006年の買収後、10億人超えたのは、約7年後の2013年でした。

 Googleフォトは2015年のデビュー前は、2011年に誕生したあの悲しい運命のFacebook対抗サービス「Google+」の1機能でした。最初は、Google+アプリで撮影した写真をアップロードして友達と共有するだけの機能。

 plus Google+の写真機能だったころ

 それがなんだか妙に便利になっていって、Google+はいらないけど、この写真機能はすごいなぁと思っているうちに、2015年3月に、当時まだ製品担当上級副社長だったスンダー・ピチャイさんによるGoogle+からの独立宣言。そして、その年のGoogle I/Oでの華々しいデビューでした。

 それからも、機械学習によるアルバム作成や高度な検索機能でびっくりさせられることの多いサービスとして成長し続けています。

 そのいきさつを、10億人突破記念で米ビジネス系メディアのFast Companyが、Googleフォトの立役者でGoogler歴10年で現在Chrome、コミュニケーション、フォトの担当副社長を務めるアニル・サバルワルさんに取材してまとめてくれました。

 この人には見覚えがあります。Google I/O 2015の基調講演でGoogleフォトを紹介した人です。

 anil Google I/O 2015でGoogleフォトを紹介するアニル・サバルワルさん

 Googleフォトの基本方針は、サバルワルさんが基調講演で説明してから今も変わっていません。

  • ユーザーのすべての写真と動画をまとめておけるホームになる
  • 膨大な量の写真と動画を整理し、人生の思い出として愉しめるようにする
  • 大切な思い出を、大切な人と簡単にシェアできるようにする

 サバルワルさん、2008年にGoogleにヘッドハントされ、Google Apps(今のG Suite)開発で注目を集めて当時のGoogleが一番注力していたGoogle+チームに参加して写真機能の担当になりました。

 そこで「写真機能でユーザーが一番欲しい機能は何か?」を真剣に考えるうち、SNSで共有することだけじゃない、むしろ、まずは膨大な量の写真を安心して保存でき、それを埋もらせることなく整理できてこその共有だと確信しちゃったのでした。写真機能はGoogle+の1機能であるべきじゃない、と。

 そのころちょうどタイミングよく、Google+を推進してきたエンジニアリング担当副社長、ヴィック・ガンドトラさんが退社。当時一介の製品担当ディレクターだったサバルワルさんは思い切ってピチャイ上級副社長に写真機能独立を訴えました。

 ピチャイさんはピチャイさんで、そのころからAIこそ未来だと考えていたので、機械学習でユーザーの思い出整理を手伝うというコンセプトが大いに気に入り、「これこそわれわれが構築すべき製品だと言ったのでした。

 その後は、ピチャイさんの庇護の下、サバルワルさんのチームはAI採用写真ツールとしてのGoogleフォト開発に邁進。全員が自分の写真を実験台に、自分が欲しい機能を追加し、自分が困ることを解決していきました。2015年のI/Oのプレゼンでは、サバルワルさんが1981年4月の写真までさかのぼってみせたり、顔認識で検索する機能を披露するたびに会場がどよめきました。

 Googleフォトの強みは、AI機能とクラウドストレージ。保存画質を1600万画素(動画なら1080p)にしておけば、無料のままいくらでもクラウドに写真や動画を保存できます。2015年以降に生まれた人であれば、誕生から(Googleが滅びなければ)死ぬまでの写真を気兼ねなく保存できるわけです。

 こんなサービスを収益化しないでおくことが許される会社というのもすごいですね。一応、高画質で保存していくとストレージは有料で追加することになるのと、(日本ではやってない)フォトブックサービスがありますが、大した金額にはならなそう。せっかくAIで画像を解析しているんだから、Facebookのようにターゲティング広告に利用しない手はないのに、それはしない。これからも、しない。「写真はものすごく個人的なものだから、関連する広告を表示するようなことは絶対にしない」とサバルワルさんはきっぱり言いました。すてき。

 Googleフォトは直接金のなる木にはなりませんが、間接的にはスマートディスプレイの販促にはなりそうです。うちのキッチンカウンターにある「Google Nest Hub」ではGoogleフォトからのフォトフレーム機能を使っています。これが楽しい。縦位置の写真は2枚並べて表示するんですが、AIが選ぶので、例えば花の写真が2枚とか、同じ人物の似たポーズの写真が2枚とか出てきて感心します。人物を指定しておけば、その人の新しい写真はすぐに表示されるようになるので、孫の成長を楽しみにしている祖父母の家へのプレゼントにぴったり、というわけです。

 photo 1 花の写真が2つ並ぶ
 photo 2 この2つの関連性が高いと思った理由をAIさんに聞いてみたい(なんとなくは分かる)

 Googleフォトのチームは最近、Googleフォトのライト版という位置づけの新しいアプリ「Gallery Go」をナイジェリアのイベントで発表しました。ネット環境が悪く、高性能な端末を購入できない新興国市場ユーザーが主な対象です。サバルワルさんは、「Googleフォトの月間ユーザー数が10億人を超えた今、Gallery Goは次の10億人のためのアプリだ」と語りました。

 gallery Gallery Goも10億人ユーザーを獲得するでしょうか

 Googleさんは営利企業なので、きれいごとだけではやっていけないと思いますが、少なくともサバルワルさんの目が黒いうちは、Googleフォトチームは自分たちを含むユーザーが欲しい写真・動画ツールをこれからも作っていってくれそうです。

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