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Apple、Siriとユーザーの会話を人間が聞いていた件を認め、オプトアウト機能を追加すると約束

» 2019年08月04日 06時49分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Amazon米Googleに続き、米Appleも自社の音声アシスタント(Siri)とユーザーの会話を請負業者である人間の担当者に聞かせていることが、英Guardianの7月26日付の記事で明らかになっていた。Guardianは8月2日、Appleが世界で行っているこの作業を一時的にすべて停止したと報じた

 26日の記事は、匿名希望のAppleの請負業者による告発に基づいたもので、取材を受けたAppleはこれを認めた。その上で、請負業者に送る音声データは「Siriがユーザーをよりよく理解できるようにするための作業、“グレーディング”に使われている」と説明した。このグレーディング作業に使われるSiriのデータは1日にアクティベートされるSiriのデータの1%以下で、数秒の長さのものばかりであり、Apple IDと紐付けられていないとも語った。

 だが、問題はそこではなく、Appleがユーザーに対し、利用規約でSiriとの会話を人間が聞く可能性があることを明示していないところにある。

 それは、AmazonとGoogleも同様ではあるが、Appleは折に触れてプライバシーを大切にしていると強調している企業だ。同社は公式Webサイトの「プライバシー」というページで、「優れた体験をするために、あなたのプライバシーと安全を犠牲にする必要はない。Appleはそのことをこれまで繰り返し証明してきました。優れた体験とは、逆に、プライバシーと安全を支えることができるものなのです。」と謳っている。

 siri 2 Applenoプライバシーのページ

 また、AmazonとGoogleはいずれも、音声アシスタントとの会話を保存しない設定を選べるが、Appleにはそうした機能がない(Siriそのものを無効にすることはできる)。

 siri 2 GoogleとAmazonの音声データ保存設定画面

 Guardianの2日の記事によると、AppleはGuardianに対し、この件についての見直しを行う間、Siriのグレーディングを世界で停止していると語ったという。Appleはまた、今後のソフトウェアアップデートで、ユーザーがグレーディングをオプトアウトする機能を追加するとも語った。

 音声アシスタントの音声データを人間の担当者が聞いている件は、3社ともメディアに暴かれた後認め、「対象データはごく一部であり、匿名化されており、目的はサービスの向上だけだ」と説明するというパターンになっている。

 機械学習を採用する音声アシスタントの性能向上にデータセットは欠かせない。恐らく3社とも、今後はユーザーに対する透明性を高め、データを提供するかどうかを簡単に選択できるような設定にして、データ収集を続けることになるだろう。

 米CNBCは1日、GoogleがEU圏内でGoogleアシスタントによる録音の人間によるレビューを停止したと報じている。Amazonは2日、「Alexaプライバシー」設定の音声録音を機能向上のために提供するかどうかを設定する画面に、「音声録音は、サービス向上のために人間によってレビューされる可能性がある」という文言を追加した(日本語版はまだ)。

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