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» 2019年08月05日 07時00分 公開

「企業より個人が勝つ時代が来る」 UUUMが語るYouTuberの今と未来(2/2 ページ)

[房野麻子,ITmedia]
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企業より個人が作るコンテンツが勝つ ヒントは感情移入?

 渡辺さんがUUUMでクリエイターのマネジメント事業に携わるのは、「これからのコンテンツはテレビもネットの動画も一緒くたになり、個人が勝っていく」との思いがあるからだ。

 「個人が情報発信をするようになり、ネット上にはコンテンツがあふれています。数が多すぎて探すのも大変で、どこに面白いものがあるか分からない状況です。そうなると視聴者はコンテンツを探さずに“行きつけ”を決めるのです」(渡辺さん)

 情報過多の時代、その中から自分に合ったお気に入りを探すのは難しい。偶然お気に入りのYouTuberを見つけると、その人の動画を見ることがコンテンツ消費の中心になる。特にYouTuberのような個人のコンテンツは、著名人や企業のコンテンツに比べても人々に響きやすいという。

 「個人が作るコンテンツは、自分で企画を考え、撮影も編集もやっているため、その人の個性が出ます。毎日投稿されれば、視聴者は毎日クリエイターに会える。そうなると感情移入しやすいのです」(渡辺さん)

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 海外でも、YouTubeの人気ランキングの上位はほぼ個人の動画が占めている。UUUMに所属するクリエイターが作った動画の視聴時間は、合計でおよそ月間3億時間。他メディアとは桁違いの長さだ。

 テレビは一般大衆に向けた媒体なので万人受けするものを作るが、YouTuberが強みを発揮するのはニッチなジャンルだ。

 「4、5年前に比べてYouTubeの視聴者も増えて、1再生当たりの広告収益が増えています。1000人のファンが付けば、広告収入でやっていけるようになりました」(渡辺さん)

 サイバーエージェントが調べた2018年の動画広告市場規模は1800億円以上。そのうち、動画の前後や途中に挟まれる動画広告「インストリーム広告」は756億円に上る。ほとんどがYouTubeの動画広告と予想できる。

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 とはいえテレビの影響力はまだまだ根強い。渡辺さんも「40代以上のテレビ視聴時間は落ちていません。今の若者が40〜50代になるまで、テレビは強い存在であり続けると思います」との認識だ。

トラブルや炎上を防ぐ努力

 市場規模が拡大する一方で、クリエイターのコンプライアンス問題も避けては通れない。再生回数を求めるあまり、倫理に反する過激な内容の動画を投稿して炎上、警察沙汰になることも珍しくない印象だ。

 UUUMもコンプライアンス対策には特に気を使っていると説明する。そもそもトラブルを起こしそうなクリエイターと契約せず、ネットで見つけたクリエイターについても発信しているコンテンツのチェックや、公序良俗に反していないか、法律は順守しているかなどを重点的に確認するという。所属クリエイターの動画企画などにもアドバイスを行う。

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 「薬品を使う“やってみた動画”を作るときは、『専門家と一緒に撮影する』『注意書きをテロップで入れる』など、指導を行っています。政治的なコメントは反対意見を持つ人にも配慮するように注意するなど、『法律違反ではないが気を付けるべきこと』も教えています。YouTuberとして有名になると甘い誘いも来ますが、勝手に判断せず相談するようにと伝えています」(渡辺さん)

今後のインフルエンサー市場はどうなる?

 「昔はマスメディアにCMを打てる企業が強く、数社で商品のシェアを取り合う世界でした。個人は企業に入らないと何もできなかったが、今では個人がメディア化し、状況が変わってきました」と渡辺さん。若者のテレビ視聴時間が減り、SNSに使う時間が増えた。個人がメディアとしてファンを抱え、企業が持っていた市場を奪い、企業ブランドが力を失う可能性があると将来を見定めているという。

 中国のインフルエンサー市場は日本の40倍と非常に大きく、獲得したファンに対して物販を行ったり、“投げ銭”で稼いだりするクリエイターも少なくない。自分でプロデュースしたものを売るケースもあれば、インフルエンサーが気に入った商品を宣伝し、キックバックをもらうという契約もあるという。

 「個人がセレクトショップになれるなら、もはや売れないものは何もない」(渡辺さん)。

これからの時代は「個人が自分の価値を武器に生活していくことが大事」

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 UUUMが日本の市場でYouTuberをはじめとするインフルエンサーのマネジメントプラットフォームとして成長するためには、成功事例を増やすことが課題であると渡辺さんは話す。

 「成功事例が増えれば、UUUMでインフルエンサーとして成功したいと思う人がもっと増えていくでしょう。いろんな成功事例を作ることが、新しい経済圏を切り開くことになる」(渡辺さん)

 「今は愚直にやるだけ」と渡辺さん。「より多くの個人が、好きなことで生きていける世界を作るのは素晴らしいこと」という信念で、多ジャンルのクリエイターたちをサポートしていく考えだ。

 「企業に就職し、終身雇用で安泰という時代は終わる。個人が自分の価値を武器に生活していくことが大事になってきます。インフルエンサーのように自分で発信して自分のフォロワーを増やすことは、自分の価値を高める手段の1つになるでしょう」(渡辺さん)

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