芸能事務所の社長が5時間記者会見しても物事が進展しない昨今、意思決定の遅さが問題視されます。もはや「はじめてのおつかい」が巡回セールスマン問題の最適解に見えてきます。
このような現状に対して、ユーザー企業と分析ツールベンダーそれぞれの立場で見直すべき点があります。
まずユーザー企業は、自社で抱える問題がデータ分析ツールでなければ解決できないのかを考えましょう。ここで大事なのは、まず自分で調べることです。
「分からないから聞いている」の一点張りで課題を明確にしないままでは、提案する側も質問に答えられません。自社の問題を調べる作業は、他社にやらせるより自社でやる方が手間も時間もかかりません。分析ツールベンダーの担当者をヤフー知恵袋感覚で呼び出すのはやめましょう。彼らはどんなに良い提案をしても、ベストアンサーどころか提案料ももらえません。
「調べても情報がないから呼んだ」という担当者もいますが、見つからなければ問い合わせフォームから依頼すれば済む話です。外国製の分析ツールは資料が英語の場合もありますが、製品の概要や事例はGoogle翻訳でも大まかに把握する程度でも良いでしょう。詳しい調査はもっと検討を進めてからで十分です。
過度な秘密主義によるNDA締結の義務化や、直接訪問による説明も見直すべきでしょう。まずは、必ずしもそれらが必要なのかどうかを判断して下さい。
ここまで準備してから担当者を呼び出しても、遅くはありません。自社に必要な製品や機能を見極めてから呼んだ方が検討もスムーズに進みますし、お互いのリソースや時間を有効活用できます。
次に、分析ツールを提供するベンダー側の課題を考えてみます。企業が担当者を呼ぶ理由は「調べても分からない」なので、その原因をつぶしましょう。
外国製のデータ分析ツールを扱っていれば、まずは日本語化を進めます。全てのメニューとヘルプを日本語化して、関連資料も翻訳しましょう。世の中はGoogle翻訳の存在を知らず、ささいな情報でも専門家が翻訳したレベルの日本語資料を求める人が多数派だと覚えておきましょう。
国産の自社開発ツールでも機能や価格だけでなく インストールからデータ分析までの流れを丁寧にまとめた資料などを準備しましょう。利用するのはエンジニアばかりではなく、これからデータ分析を学ぶ一般ユーザーです。製品開発だけでなくユーザーへの配慮を意識して、製品資料、評価版、操作マニュアル、FAQ、サポートページ、動画コンテンツなどを充実させましょう。
データ分析ツールと一口にいっても、多種多様な製品が販売されており、機能や特徴はそれぞれ異なります。開発者と利用者で、データ分析ツールに求めるものやイメージも異なるでしょう。こうした認識のギャップを埋めることが、無駄な提案や検討をなくすための第一歩です。
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