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「クラウドは旅路、我々が寄り添う」 ドラクエ、メルペイも採用するGoogle Cloudの今Google Cloud Next ’19 in Tokyo(1/5 ページ)

» 2019年08月06日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 「かつてないクラウドを体験しよう」と題したGoogle Cloudのイベント「Google Cloud Next ’19 in Tokyo」が、7月30日から8月1日の日程で開催された。

 ザ・プリンス パークタワー東京と東京プリンスホテルの2会場を利用して開催されたこのイベントには、1万9000人以上の人が登録、約90のテーマ別セッションやハンズオンラボが設置され、開催期間中は芝公園周辺に技術者を中心とした大きな人の流れができた。ここでは、31日の基調講演第1日目の模様をお伝えする。


 基調講演でイベントの開催を宣言したのは、Google Cloud日本代表の阿部伸一氏。イベントの概要説明の後、「クラウド事業は、最先端の技術を知り、それを使い続けていく必要がある。我々はそれを旅路=ジャーニーだと考えている。ユーザーが自社システムをクラウドに合わせるというのではなく、我々がユーザーに寄り添う」とGoogle Cloudの基本方針や運営姿勢を紹介した。後のプレゼンで登場する新技術「Anthos」(詳細は後述)を意識した物言いだ。

photo トップバッターは、Google Cloud日本代表の阿部伸一氏。後に登壇する技術系プレゼンターとは異なり、平易な言葉を意識して並べるあたりは、手練の経営者であり、年の功だからななのか……

 次に登場したのは、Google Cloud テクニカル インフラストラクチャ部門 シニアバイスプレジデントのウルス・ヘルツル氏。「Google Cloudの売上が、年間で80億ドルを達成してまだ伸びている」「5月に日本で2番目のリージョナルクラウドセンターを大阪に開設し、アジア太平洋地域では7番目、世界で20番目となる」「日本→グアム→オーストラリアとつなぐ海底ケーブルを敷設中。来年初頭にこれが開通すると日本には3本目の海底ケーブルに」とインフラ部門の責任者らしく、設備面の優位性を強調しつつ、Google Cloudの好調ぶりを立て続けに並べた。

photo Google Cloud テクニカル インフラストラクチャ部門 シニアバイスプレジデントのウルス・ヘルツル氏

 そして、日本の有名企業が続々とGoogle Cloud Platform(GCP)を採用していることを紹介した後、「Google Cloud Next ’19 in San Francisco」で新たに公表されたGCPの新サービス「Anthos」を紹介。

 Anthosは、企業が運用中のオンプレミスなシステムや他のパブリッククラウド(AWSやAzure)で動作するアプリケーションを統合的に管理することができるハイブリッドクラウド、マルチクラウドを実現するツールだ。競合他社も同様のツールを公表しており、この分野でも熾烈なシェア獲得合戦が展開されるであろう。

DeNA南場智子会長の「決断」

 ヘルツル氏に紹介されて登壇したのは、DeNA代表取締役会長の南場智子氏。「DeNAは始まる前から終わりそうだった」と創業時に立ち上げた初めてのサービスで、システム開発を外部パートナーに丸投げしたことで大失敗に終わった逸話を紹介し、内製化の重要性を語る。

photo DeNA代表取締役会長の南場智子氏は創業時のシステム開発における失敗談を披露

 その後、エンジニアの採用に奔走し「結果的にサービス立ち上げ時に初速で数千万人のユーザーがアクセスするような状況でもサーバがダウンしたことはない。日本でもトップクラスの技術力を身につけることができた」と胸を張った。

 2018年、経営者として大きな決断を迫られたという。今後の方向性において「技術陣がオンプレミス派と、クラウド派で意見が対立。双方の意見に理があり、簡単に答えを出すことができなかった」と明かす。しかし、「エンジニアには、もっと創造的な仕事をさせたい」という最高技術責任者の一言が南場氏を動かしたという。

 これが決定的な要素となって、DeNAはクラウドシフトを決める。「今夏公開予定のポケモンマスターズは、GCPを採用してオールクラウドネイティブで開発している」と誇らしげに力説。ただ、会場の反応が鈍く、「ここ驚くところですよ」と自らツッコミも。

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