準備を整えた岩尾さんは、2018年9月22日〜19年1月21日まで、約4カ月間(111.8日)かけて高性能計算プログラム「y-cruncher」を動かした。岩尾さんは当時を「祈っていただけではなく、ダッシュボードを確認し、ちゃんと動いているかを常にモニタリングしていましたよ」と振り返る。
使用したストレージは約170テラバイト、利用料は約20万ドル(約2119万円)に上ったが、実験は大成功。大規模な科学技術計算をたった1人で成し遂げ、ギネス記録を勝ち取った。
だが、岩尾さんの取り組みに批判的な目を向ける人もおり、「Wikipediaに『既存のプログラムをダウンロードしてきて、クラウド上で走らせただけ』と(やゆするような)紹介文を書かれたこともありました」という。
それでも、「簡単そうに見えるかもしれませんが、仮想マシンを4カ月間ヘビーに使えることや、ネットワークドライブで大規模な処理ができること、そしてクラウドで世界記録を出せることは、最初は誰も想像していなかったはずです」と、岩尾さんの自信に揺るぎはない。
「ほぼ趣味のようなプロジェクトでしたが、準備段階ではいろいろな構成を試せましたし、計算が始まってからはクラスタを1人で走らせることができました。小学生の頃からの夢をかなえられたことをうれしく思っています」
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