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文系記者が「データサイエンティスト育成スクール」に通った結果半年間の取材体験記(3/6 ページ)

» 2019年08月20日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

座学にハンズオン、グループワークも 授業の進め方は

 データミックスは、スクール事業とコンサルティング事業を手掛けており、実務経験が豊富な講師陣をそろえているのが特徴だ。普段、さまざまな企業のデータ分析業務を支援しているので、授業の中でも「(授業で使う)配布資料にはこう書いてあるが、実務ではこのポイントがうまくいかないことが多い」など実体験を基にポイントを話してくれる。

 1回の授業で、20人弱が教室に集まる。20〜40代が中心で男性が多く、普段はプロダクトマネジャーを担っているというベテラン社員の姿も見られた。受講生の職業はさまざまで、コンサルタントや企画・マーケティング担当者をはじめ、書籍の編集者や人事担当者など、初めてデータサイエンスを学ぶ人も多かったが、中にはスキル向上を目指す現役のデータサイエンティストもいた。

受講生の属性(データミックスより)

 データミックスでは「なぜ、こうした分析結果になるのか」「なぜこの手法を使うのか」などを技術に詳しくない相手にも説明できるようになることを重視している。そうした背景もあり、授業中に分からないことがあればいつでも自由に質問できる。しかし、受講生の知識レベルがばらばらなので完全な初心者だと手を挙げて質問しづらいかもしれない。

 授業では学習するトピックごとに資料(いわゆる教科書)が配布される。基本的には座学で知識を詰め込みながら、グループワークで演習に取り組んだり、実際に手を動かしながらプログラミングをしたりを繰り返す。最初の方は座学が多いので「独学だと何から始めていいか分からない」という人にはフィットするだろうし、独学でガンガン進められる人にとっては物足りなく感じるかもしれない。

 AIプロジェクトは、一般的に目的の設定→データ準備→モデル生成・評価→業務への組み込みと運用、という流れで進んでいく。データミックスで学べるのは、モデル生成・評価などの「分析」工程だ。線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、決定木、回帰木、ランダムフォレスト、k-meansといったアルゴリズムや、クロスバリデーション(交差検証)、グリッドサーチといった手法は学べるが、要件定義のための論理的思考や、サービスにAIを実装するエンジニアリング力は一朝一夕では身に付かない。

 スクールでは「既に機械学習で解くべき問題に落とし込まれた課題」を解いていく。不動産の価格予測や企業における退職者の予測など、実際によく出てくるユースケースを解きながら「AIで解けそうな課題を自力で発見する力」も養っていくイメージだ。

「Kaggle」

 実際、授業では機械学習コンペティションのプラットフォーム「Kaggle」をはじめ、ビジネス現場でありそうなケーススタディに取り組む。独学でKaggleに挑んで挫折したという人も、講師に質問したり、受講生同士で相談したりすることでモチベーションを維持できる。

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