ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

文系記者が「データサイエンティスト育成スクール」に通った結果半年間の取材体験記(5/6 ページ)

» 2019年08月20日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

スクールに向いている人と、通うメリット

 卒業プロジェクトに取り組み、講師による口頭試問を終えると、晴れて卒業となる。半年間は長いようで、あっという間だった。

 とあるデータミックス卒業生は、「(スクールに通うのは)ダイエットに例えると、ライザップを選ぶようなもの」「やる気と時間のある人は得るものが多い」と言っていた。目的が明確で、集中的に専門的な知識を得たいと思っている人は、投資した分のリターンを得られるといっていい。

 例えば、「最近はAIの依頼も増えてきたので、プロジェクトマネジャーとしてプロジェクトの全体像を把握しておきたい」のなら、ブートキャンプやベーシックステップだけ受ければいいだろうし、「データサイエンティストとしてのキャリアを歩みたい」のなら、インテグレーションまで進んで、転職支援を受ければいい。重要なのは、自分の目的とスクールが提供する内容が合致しているかどうかを説明会を通して事前に確認することだ。

 そういう意味では、記者の当初の目的(下心)である転職は果たしていないものの、スクールで得た知識は普段の取材で非常に役立っている。今後は、データ分析を記事作成やメディア運営などにも生かしていきたい。

 さまざまな領域でAI活用の裾野を広げていくには、より多くの人がデータ分析や機械学習などの基本的な知識を身に付ける必要がある。例えば人事担当者がデータ分析を学べば、精度の高い退職者予測AIを作成できる可能性があるし、そうした動きが業種、職種を超えて広がっていくことが求められているだろう。個人のキャリアとしても、データを見る目やデータを扱う力を養うことはプラスに働くはずだ。

 データサイエンスはよく料理に例えられる。データサイエンティストが料理人で、データが食材、与えられたインフラ環境が調理場だ。スクールで教えるのは、料理人としての心構えと食材の調理方法、調理道具の種類と使い方、そして調理場での振る舞い方だ。短時間で調理道具が増えていくので、どの道具をいつ使うのかを見極めたり、うまく道具を使ったりするには、優秀な料理人を手本にしながらたくさん料理を作るしかない。

 たとえ自分でうまく作れなくても、料理名やレシピを知っていれば、他の料理人にそれを伝えて作ってもらえばいい。今は、他の料理人においしい料理を作るように指示を出したり、全体を取りまとめたりする料理長(プロジェクトマネジャー)の需要も非常に高まっている。

「データサイエンティストブーム」は続くのか

 AIバブルともいえる日本では、データサイエンティストという職業が引き続き注目されている。しかし、「果たしてデータサイエンティストブームやAIブームはいつまで続くのだろうか」と思う人もいるだろう。データミックスの授業でも、実際に受講生たちから「データサイエンティストの需要はいつまであるのか」「40代からデータサイエンティストに転職するのは現実的なのか」といったキャリアに関する質問が多く飛び交った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.