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» 2019年08月28日 16時53分 公開

JAXAとリコー、宇宙空間で使える「THETA」を共同開発 9月に打ち上げ

JAXAとリコーが、宇宙空間で使える小型全天球カメラを共同開発した。宇宙ステーション補給機「こうのとり」で打ち上げ、宇宙空間を撮影する。

[村上万純,ITmedia]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とリコーは8月28日、宇宙空間で360度を一度に撮影できる小型全天球カメラを共同開発したと発表した。宇宙ステーション補給機「こうのとり」に搭載して打ち上げ、宇宙空間の全天球映像を撮影して地上に送る。民生品の全天球カメラで宇宙船外を撮影するのは国内で初。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)とリコーが小型全天球カメラを共同開発した

 共同開発したカメラは、小型衛星光通信実験装置「SOLISS」の2軸ジンバルの動作を確認する用途で使う。9月11日に打ち上げ予定の「こうのとり」8号機で国際宇宙ステーション(ISS)へ送り届けられ、ISS内にある日本の実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームから撮影した画像を地上に送信する予定だ。

小型衛星光通信実験装置「SOLISS」
開発したカメラ

 リコーが市販する小型全天球カメラ「RICOH THETA S」をベースに共同開発した。宇宙空間の温度と打ち上げ時の振動に耐えられるよう、ボディーの素材にアルミニウム合金を使用した。放射線対策はファームウェアで行い、回路設計を制御するなど工夫している。

JAXAの澤田弘崇さん(宇宙探査イノベーションハブ 主任研究員)

 同日に開催された発表会では、小惑星探査機「はやぶさ2」で使うカメラの開発などを手掛けてきたJAXAの澤田弘崇さん(宇宙探査イノベーションハブ 主任研究員)が登壇。澤田さんは「THETAを使えば、本来の目的であるジンバルの監視以外の用途にも使えると思いました。人を楽しませ、感動させる写真や映像が撮れるのではないかと思います」と期待を寄せた。

 共同開発のきっかけは澤田さんだった。はやぶさ2の打ち上げを終え、2015年ごろに何か面白いことができないかと考えていたときに、THETAを宇宙空間で使うことを思い付いたという。リコーに相談し、耐久試験をする中でTHETAが宇宙空間での使用に耐えられることが分かり、本格的に開発を進めていった。

 リコーの山下良則社長は「リコーの歴史は、イメージング技術の歴史。(THETAのような)空間記録装置は、新たな産業社会のインフラになる可能性を持っています。今回、その可能性が宇宙にまで広がることをうれしく思います」と語った。

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