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2001年Universの旅とエウレカセブンHelvetica 映画やアニメのフォントとデザイン、そして世界の街中へデジタルネイティブのためのフォントとデザイン(2/3 ページ)

» 2019年08月29日 10時52分 公開
[菊池美範ITmedia]

「エウレカセブン」シリーズの秀逸なフォント使いとデザイン

 2005年から2006年までTVアニメーションとして放映された「交響詩篇エウレカセブン」は当時、フォントとデザインの面でも大きな反響を呼んだ。デザイン専門誌にもフォント使いと画面構成の点で記事となり、高い評価を受けている。

 Helveticaファミリーを中心としたスクリーンデザインは、あの当時のTVアニメーションでは群を抜いて「カッコ良かった」のである。それまでの定型的なテロップの入れ方とは大きく変わり、コマーシャルタイムの間に挟まれる前半と後半に映し出される画面も、白いシンプルなバックに英文を中心にデザインされていた。こんなにモダンですっきりとした画面は初めて体験したので、アニメーションにおけるフォントとデザインが、映像表現の一部となることに気がつかされたという意味で衝撃的であった。

 時が流れて「エウレカセブンAO」の放映が2012年に始まったとき、すでに地上波デジタル放送の時代。画面のアスペクト比は以前より横長となったが、このシリーズでもタイポグラフィに細やかな配慮とデザインで構成されたスクリーンデザインは素晴らしかった。

 作品タイトルにはフォントワークスのFOT-筑紫A見出ミン Stdが使用されていたが、このフォント、タイトルで使用すると少々「暴れる」ことがある、デザイナーにとっては組み甲斐のあるフォントだ。文字と文字のスペースをギリギリまで追い込んだ設定(タイトカーニングと呼ぶ)をAdobe InDesign上で再現してみたが、字間をていねいに一文字づつ詰めたり離したりしているのがわかる。美しい文字に興味がある方は、手持ちのアプリケーションで試してみると、そのむずかしさがわかるだろう。

photo 「エウレカセブンAO」中の一話、「ガーディアンズ・ハンマー」のタイトル画面で使われたフォントを再現してみた

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