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カメラ映像をAIが分析、駅ホームの転落防止も KDDIが法人向けに5G対応サービス

» 2019年09月02日 17時26分 公開
[村上万純ITmedia]

 KDDIは9月2日、5G通信とAI技術を組み合わせて高精細な映像分析などができる法人向けサービスを2020年3月から提供すると発表した。監視カメラなどで撮影した映像を5G通信でクラウドに転送し、AIに分析させる。大容量・低遅延が特徴の5G通信を用い、高精細な映像をクラウドに転送することで、AIの検知精度を向上できるとしている。19年11月からトライアル環境を提供する。

監視カメラの映像をAIで解析するサービス「AIカメラ」のデモ
KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏

 IoT機器、通信回線、クラウド環境をパッケージ化し、顧客のニーズに合わせてサービスを提供する。KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は「従来なら店舗ごとに設置する必要があったサーバをクラウド化すれば、配線や設置スペースの問題が解消される。障害発生時も遠隔で対応できるメリットがある」と説明した。

 まずは小売、飲食、鉄道業界を中心に、監視カメラの映像をAIで解析するサービス「AIカメラ」を提供。店舗に設置したカメラで入店客の滞在時間を分析したり、空席情報を可視化したりできる他、駅ホームでの転落検出や踏切への侵入検出などにもAIを活用できるとしている。


設備構成

 KDDIが9月2日に開催した発表会では、5Gデモ用のHD(1280×720ピクセル)映像と、4Gデモ用のVGA(640×480ピクセル)の映像を使ったデモンストレーションを披露。記者たちがカメラの前に立つと、5Gを使った映像解析の方がより多くの人物を素早く検出できていた。デモでは映像データをそのままクラウド上に転送するのではなく、エッジデバイス側で処理したデータをクラウドに転送し、AIに分析させていた。

 同社は、他にも法人向け5G対応サービスを用意。ディスプレイの前に立った人の属性に合わせたコンテンツを素早く表示する「Intelligent Display」では、カメラと属性分析エンジンを組み合わせ、コンテンツを出し分ける。5G通信を活用することで、導入企業のサーバ設置の負荷を軽減する狙い。

「Intelligent Display」のデモ

 VRゴーグルなしで3Dコンテンツを立体視できる「3Dホログラム」も用意する。センサーを活用することで、ジェスチャー操作で映像内のコンテンツを動かせる。5Gを使えば、より高精細な映像を低遅延で操作できるようになるとしている。

「3Dホログラム」のデモ

 KDDIは、5Gエリア外でも同様のサービスを提供できるよう、4G用サービスも合わせて提供する。原田氏は「今日発表したサービスは4Gでも実現できるが、画像の品質が少し落ちるので、AIを使う場合は分析精度も落ちてしまう。それでも良い企業には4Gのサービスを提供していくが、われわれとしては高精細でクイックに利用できる5Gをお薦めしたい」と語った。

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