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日本を変える「テレワーク」

「テレワークやめました」 子育てITベンチャーが試行錯誤で見つけた「働き方」の考え方(2/2 ページ)

» 2019年10月04日 12時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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 現在週4勤務・テレワークで働く中村さん(仮名)は、元々は週4で働く派遣社員だった。しかし仕事ぶりや、会社のカルチャーと考えが合うことなどが牧野社長に買われ、正社員に。

 その際に、中村さんは「週4勤務は譲れない」としていたために、牧野社長は正社員の要件を再考。「会社が必要とするスキルがある」「週20時間以上勤務」「カルチャーに合い、行動指針を満たす」「いなくなると困る」という4つの条件を満たせば、週3勤務でも問題ないとした。

 週4正社員となった中村さんだが、その後、夫の遠方への一時転勤が決まり、中村さんもついていくことに。彼女の仕事ぶりをこれまで見てきたために、テレワークでも問題ないと牧野社長は判断。「週4・完全テレワーク」という例外にはこうした経緯があった。

 「実際、彼女はテレワークでも仕事が速くて正確。コミュニケーションスキルも高い。こういう人であればテレワークも可能だが、入社志望時点では仕事のパフォーマンスも測りかねるのに、自由さだけを求めに来るのは、うちの会社には向いていないだろう」(前澤さん)

大事なことは「成果が上がる環境作り」

 一度はテレワークを経験するも、コミュニケーションのスピード感などのデメリットからテレワークを原則廃止したエバーセンス。「企業はテレワークをどう扱っていくべきか」という記者の質問に対し、前澤さんは「大事なことは成果を上げられること」と応える。

 「仕事の成果を上げられるなら、『働き方』という手段にこだわる必要はない。企業によっては、テレワークが成果向上につながるところもあるだろう。しかし、エバーセンスでは社員一人一人がソロプレイで成果を上げているのではなく、コミュニケーションして皆で成果を上げている。こういう形である以上は、われわれの働き方としてテレワークは向いていない」(同)

 働きやすい環境作りの上では、ベンチャーならではのフットワークの軽さで方針転換をしやすいというのも強みだ。

 「6カ月より先の長期的な見通しはあまり立てていない。目の前の状況に対し、仮説・実行・検証を繰り返しながら、働き方も含めてより良い状態を常に模索している。東京オリンピック開催期間の交通対策はまだ考えていないが、状況次第ではテレワークも検討するかもしれない。周囲の変化に対し、柔軟に対応していくことが重要だと考えている」

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