Pixel 4は現時点で最新の「Android 10」を搭載している。従来のAndroidと大きく変わった点といえば、ホームボタン、戻る、アプリ履歴のナビゲーションボタンがジェスチャー操作に変更されている点だ。画面の下からスワイプでホームボタン、そのまま指を保持するとアプリ履歴、画面の両側をスワイプすると戻るといった操作が行える。これはPixel 4に限った話ではないが、ユーザーの混乱を防ぐためにiPhoneのジェスチャー操作にあえて寄せているのかもしれない。
ホーム画面上のどこであっても、指を下にスワイプすると通知領域を引き出せるなど、これまでAndroid端末の各メーカーが育て上げてきたジェスチャー操作もOSに取り込まれている。iOSユーザーが乗り換えても違和感なく使えるだろう。
記者はもともとAndroid一筋だったが、ナビゲーションボタンを常時表示しないことで画面を広く使えるiPhone Xのジェスチャーを気に入ってOSを乗り換えた経緯がある。同様のジェスチャーがAndroidにも実装されたことで、「またAndroidに戻るのもアリかも」と思えた。
従来のPixelシリーズは指紋認証を搭載していたが、Pixel 4は高度な顔認証を採用している。Googleスマホで顔認証といえば、Android 4.0時代の「Google Nexus」に搭載されていた「フェイスアンロック」(顔写真でも解除できる簡易的なもの)を思い出すが、Pixel 4はiPhoneの「Face ID」と同様、顔面にドットを照射して赤外線カメラで認識する本格的なものだ。
といっても目を閉じた状態でロックが解除されてしまうようで、実際に試したら簡単に解除されてしまった。iOSはユーザーが注視しないとロックが解除されない機能を備えているため、この点はがっかりした人も多いはずだ。Googleは数カ月中にアップデートで修正すると表明している。
それはさておき、顔認証を使ったPixel 4のロック解除は非常に快適だ。端末を持ち上げて画面が点灯すると同時にロックが解除され、ホーム画面が現れる。
iPhoneはFace IDでロックを解除した後に、画面を上にスワイプしてホーム画面を開く必要があることから、即座にホーム画面へ移行するPixel 4はなおさら早く感じる。iOSは顔を向けると隠されていた通知が見られたり、カメラやライトを起動したりといったショートカット機能をロック画面に備えているためだが、「さっさとロック解除して使ったほうが便利だろう」という設計思想の違いを感じた部分だ。
そしてPixel 4の目玉機能が、上部のベゼルに内蔵する「Soliレーダー」を使ったジェスチャー機能「Motion Sense」(モーションセンス)だ。ユーザーの手の動きを高精度に検知し、端末に触れずに操作できる。現状は音楽アプリやアラームの操作といった利用範囲にとどまっているが、将来的にはスマホ以外のハードにもこの技術を広げることを考えているはずだ。
しかし、日本ではまだジェスチャー機能を使えない。Soliレーダーが60GHzの無線周波数を使っている関係上、日本では法的な問題がクリアされる2020年春までお預け状態になっている。Pixel 4の目玉機能だけに、この点は非常に残念だ。
Pixel 4は、Androidの進化を直に味わえるレベルの高いスマートフォンに仕上がっている。Pixel 3aのように廉価版が今後登場する可能性もあるが、ワイヤレス充電や大容量ストレージモデルなどが省かれる可能性もある。ハイエンドを求めるユーザーなら、Pixel 4に飛びついても後悔はないだろう。
新しい顔認証機能やカメラなど、最新のiPhoneと比較しても引けを取らない使い心地をPixelシリーズは十分に実現している。次に考えるべきは、スマホ単体の魅力だけではなく、例えば「Suicaが使えるApple Watchがあるから、Androidに移れない」といった囲い込みユーザーをどう切り崩すかが、訴求のポイントになりそうだ。
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