LINEカーナビは走行中にも安全にLINEのサービスが活用できるように、機能とインタフェースを作り込んだ。LINEのメッセージを声で送ったり、読み上げたりと、通常のカーナビにはないLINEならではの機能がいくつもある。
スマート家電の遠隔操作もその一つ。例えば、帰宅する道中でハンドルから手を離さずに自宅のエアコンをオンにして部屋を暖めたり、涼しくしておける。もしLINEのスマートディスプレイ「Clova Desk」、または「Clova Friends Dock」のどちらかが自宅に設置されていれば、赤外線リモコン機能でより幅広い家電をリモートで操作できる。
「Clovaシリーズで培ってきた高精度な日本語による音声認識・合成技術のノウハウを活用できることがLINEカーナビアプリの強み」と中村氏は話す。ただし、車内で使うLINEカーナビはさまざまなノイズの影響を受けやすく、中村氏はClovaのノイズフィルターを専用にチューニングするなど対策を施したという。
LINEカーナビはトヨタが提供してきたコネクテッドカー向けのハイブリッドナビエンジンが採用されている。これが二つめの強みだ。
自動車で走りやすい道の案内や、トヨタのコネクテッドカーからリアルタイムに送られてくるデータを元に更新される渋滞情報を反映したルートの再検索などが利用できる他、「今後はLINEカーナビのユーザーデータも掛け合わせることができるため、さらなる精度向上が期待できる」と中村氏は話す。LINEカーナビが多くの自動車で使われるようになれば、音声認識の精度向上も期待できるだろう。
LINEカーナビはモバイルアプリであるため機動力の高さも魅力だ。車載機がSDLに対応していれば、レンタカーや社用車でもデバイスを接続できる。使い慣れた自身のアプリ設定などを手軽に持ち運べるのは大きなメリットになる。
山田氏によると、LINEは今後カーナビで活用するコンテンツの拡充にも取り組むという。現在は「駅」や「ガソリンスタンド」などシンプルな表示で道案内を行っているが、いずれは「この近くにあるおいしいレストラン」のように、ユーザーの利用履歴も参照しながら目的地をレコメンデーションするような機能にすることを考えている。他にもLINEの無料通話、ルート案内のパーソナライゼーションなどの機能も追加を検討している。
LINEカーナビのサービスはまだ始まったばかりだ。今後、音声操作に豊富なノウハウを持つLINEのClovaが、トヨタという強力なパートナーに得て何を仕掛けてくるのか。進化が楽しみな技術がまた一つ増えた。
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