多くのビジネスパーソンの間では、「仕事は、関係者が同じ時間・同じ場所に集まって行うもの」という暗黙の了解がある。確かに関係者が物理的に同じ時間と空間に集まって作業したり、コミュニケーションしたりすると、何かと都合が良い。目の前に関係者がいれば、必要な資料をすぐに手渡せるし、細かい指示やアドバイスをしたり、相手の表情や態度から本音を探ったりすることも容易だ。
だが「同じ時間・同じ空間に集まる」ことが当たり前になると、さまざまなコストやリスクも生まれる。特に定時が決まっていると、毎朝満員電車に乗ることが増えるため、心理的なストレスが大きくなる。家が遠い場合は、通勤に時間とお金が掛かるし、電車が遅れるリスクもある。
「同じ時間・同じ空間に集まらなくても良いようにする」ことは、決して「好き勝手に仕事の時間と場所を選ばせる」ことではない。正確には「自分にとって最高のパフォーマンスが発揮できる時間と場所を、働く人が選べるようにする」という意味であり、それを実現するものがテレワークなのである。
例えば総務省は、具体的なテレワークの意義・効果として、次の例を挙げている。これらは全て、最適な時間・空間で働くことによって生まれる価値だ。
テレワークの本質を考えることは、そのメリットを正しく認識する上で重要だ。テレワークは決して「やむを得ず導入する施策」ではなく、私たちが当たり前だと思って見落としている問題を解決する手段なのだ。
とはいえ、皆が同じ環境に集まって仕事をすることに利点がなければ、それが働き方のスタンダードになるわけがない。テレワークのデメリットを考えるために、あえて「いつものオフィスで仕事をすること」のメリットを考えてみたい。ここで挙げるメリットは、テレワークでは実現が難しいものだからだ。
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