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» 2019年10月28日 07時00分 公開

「本当にテレワークは必要なのか」を考えるための論点 (4/4)

[小林啓倫,ITmedia]
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デメリットを乗り越えるには

 それでは仕事というものは、関係者が一堂に会して行うのが良いのか、それとも好きな時間・好きな場所で行うのが良いのか――実はこう問いかけること自体が、間違っているのかもしれない。

 私たちが同じ場所で仕事するという文化を築いてきたのは、それにメリットがあったからという理由に加えて、「そもそも、そうするしかなかったから」という理由が大きい。私たちは、上司や同僚から対面で指示やアドバイスを受け、成果物を手渡すことで、顔色から相手の心境を推しはかったり、自分の希望をそれとなく伝えたりすることができた。

 こうした働き方を離れた場所から実現できるよう、高度なICT技術を利用するという方向性もある。例えば「テレプレゼンス(テレイグジスタンス)・ロボット」は、物理的なロボットをオフィス等に置き、それを自宅から操縦することで、あたかも操縦者が同じ空間に存在しているかのような感覚をつくり出すことができる。このような技術がさらに進化すれば文字通り、遠隔地から他の人々と同じ場所で仕事をできるようになるかもしれない。

 しかし、高度な技術がなくてもちょっとした工夫で新しい働き方を文化として確立できるはずだ。例えば、曖昧な指示を避ける、頻繁に会話して意識的に相手の様子を探る、希望や要求を明確に文章化しておく――といったことはテレワークを成功させるためにも必要だ。

 実際にテレワークを成功させている企業は、単に優れたテクノロジーを導入するだけでなく、それを正しく活用するための組織や制度作りをしていることが多い。むしろ、従来のルールや慣習を残したままでテレワークを活用するほうが難しいだろう。

 テレワーク導入は必然的に、テクノロジーを越えた総合的な取り組みになる。それをどこまで進められるかが、デメリットをできる限り抑え、メリットを実現するカギだ。

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