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電気分解で「ドットマトリクス」ラテアート お茶大、泡ディスプレイ「BubBowl」発表

» 2019年11月13日 11時30分 公開
[山下裕毅ITmedia]

 お茶の水女子大学の研究チームは、電気分解を利用し、飲料表面にドットの文字や数字を表示できる“泡ディスプレイ”「BubBowl」を発表した。

photo BubBowlの一例

 水を電気分解すると、水素と酸素が発生するという性質に着目。発生する気体を画素として利用し、飲料表面に10×10ピクセルのドットマトリクスパターンを生成するカップ型デバイスを開発した。

 プロトタイプでは、カップの底に10×10のマトリクス陰極群、容器内壁を囲うように共通陽極を配置。電解液を流し込んで電気分解を行うことで、ドットの文字や数字などを飲料の表面に作り出す。

photo カップの底には10×10のマトリクス陰極群

 電気分解で発生する気体は水素と酸素のみなので吸入しても安全という。電解液は人体に無害な、重曹とコーンスターチを加えたインスタントコーヒーなどを使う。飲んでいる途中に感電することを防ぐため、指と口の接触を検知すると電力供給を停止する仕組みも取り入れている。

photo 指と口の接触を検知することで、飲もうとする動きを捉え、電力供給を停止する

 研究チームはコーヒー以外にも、カフェオレ、100%オレンジジュース、100%グレープジュースなどの飲み物を電解液として使えることを確認。デバイス稼働中のコーヒーの味は、無添加のコーヒーと比べてほとんど違いを感じないという。

photo 本ディスプレイの出力結果。左上:オレンジジュースに「LOVE」の文字。右上:コーヒーに数字。左下:カフェオレに雨マーク。右下:グレープゼリーに「LOVE」の文字

 今回開発したデバイスは、外部から気体を供給する必要もなく、電磁バルブやコンプレッサーのような可動部分も必要ないため、従来の泡ディスプレイと比較して、小型、低コスト、低ノイズ、低消費電力のシステムを実現できるという。そのため、マグカップのような日用品にも組み込むことができ、天気予報や株価のような情報をコーヒーの液面に泡で表示する──など、日常生活での活用が期待される。

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