「何もかも変わった」――AIで若手棋士が超進化、いま囲碁界で何が起きているのか(2/4 ページ)
これらのソフトをPCにインストールすると、AIを使った打ち筋の研究や対局ができる。上野さんの場合は、ELFを使って布石(序盤の打ち筋)の研究などをすることが多いという。上野さんはAIを使い始めてまだ1年半ほどだが、「勉強方法を含め、何もかもが変わりました」と笑う。
特に序盤の打ち筋は、AIが登場したことで大きく変わった。これまで常識とされていた手も、実はあまり勝率が高くない――といったことが数値化されてしまったからだ。もちろん、AIの判断をどこまで信じるかという問題もあるが、実際、棋士たちが集まって議論する研究会の在り方も変化してきたという。
例えば、これまでの研究会は、共通のテーマについて各自が研究した内容を持ち寄って議論する形式で、判断に困ったときは多数決を採ることも多かった。しかし、今はAIが答えを出してしまうため、研究会では対局だけを行って、帰宅後にAIで気になった所を各自でチェックする――というケースも増えた。
AIの登場で、若手棋士の意見もフラットにすくい上げられるようになった。これまでは判断力に長けた若手棋士が「誰も気付いていない好手」を見つけても、多数決でその手は否定されていたという。AIに答えを聞くことで、肩身の狭い思いをしていた若手棋士にも光が当たりやすくなったようだ。
戦術のトレンドも目まぐるしく変わる。「昔は1つの戦法で1年くらい勝てる時期もありましたが、今は1局勝てるかどうかくらい。ネット対局で新戦法を試すとすぐに対策を立てられてしまいます」(大橋さん)
とはいえ、AIを使えば誰もが強くなれるわけではない。AIは勝率の高い候補手を教えてくれるが、実戦で対戦相手がどのような手を打ってくるかは分からないし、AIには苦手なシチュエーションも存在するからだ。実際、AIの判断を信用できなくなってAIから離れていく棋士もいるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
BASE子会社の漏えい、約2335万人分に 209万人分はクレカ番号「先頭6桁と下4桁」「有効期限」も
-
2
タイムズカー、退会後も7年間保管していた免許証画像を全削除へ 約660万アカウント分の漏えい受け
-
3
Microsoft、社内エンジニア数万人を対象に「Claude Code」「Copilot CLI」導入の影響を分析 生産性どう変わる
-
4
「skyticket」クレカ情報も流出、カード番号など最大6140人分 「流出なし」の初報を訂正
-
5
コミックシーモア、不正アクセスの可能性でサービス停止 メンテ終了時期は未定
-
6
祝・連載再開! 「キャプテン翼」大好きマンガ家による最新家庭用ゲーム“魂のプレゼン”
-
7
「『楽天カード公式』から詐欺メール」報告相次ぐ ドコモメールに公式マーク付きフィッシング、一部企業の認証設定に脆弱性
-
8
人気Web制作ツール「Studio」全ユーザーの情報漏えいか フォームに送信された内容、外部APIキーなども
-
9
コードを書かずに“自分専用IME” 日英を自動切り替えできる「Meltype」にAI変換を載せてみた
-
10
なぜGoogleで「ロリ」が検索できなくなったのか SEO専門家の見方
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR