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「何もかも変わった」――AIで若手棋士が超進化、いま囲碁界で何が起きているのか(1/4 ページ)

» 2019年12月17日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 2019年、日本の囲碁界は“史上初”の連続だった。

 4月に仲邑菫(なかむらすみれ)初段が10歳で最年少プロになると、9月には17歳の上野愛咲美(あさみ)女流棋聖が、全棋士が参加する一般棋戦で女性初の準優勝を達成。10月には芝野虎丸八段が史上最年少の19歳で7大タイトルを獲得するなど、若手棋士の活躍が目立った(いずれも当時の年齢・称号)。

 なぜ、若手棋士の快進撃が続いているのか。それには、近年進化が目覚ましい囲碁AIが関係しているという。囲碁AIに詳しい大橋拓文六段は、「若手棋士はAIを使った研究や検討を当たり前に行っています。もともとの実力もありますが、AIの使い方がとてもうまいんです」と話す。

 もちろん囲碁AIを使っているのは若手棋士だけではないが、年代によってAIとの関わり方は異なるようだ。大橋さんは「僕らの世代(35歳)以上は、AIを使う人と全く使わない人ではっきり分かれている印象ですが、若い子は便利なツールとして誰もが普通にAIを使っています」と説明する。囲碁AIの実力は、既に人間のトップ棋士を上回る域に達したといわれているが、そのAIを若手棋士たちはどのように使いこなしているのだろうか。また、AIの登場でプロ棋士たちはどのような影響を受けたのか。

 普段からAIを使った研究をよく行うという上野さんと大橋さんに聞いた。

左から上野愛咲美(あさみ)女流本因坊、大橋拓文六段

AIの登場で「何もかもが変わった」

 近年、米Facebookの「ELF Open Go」やベルギーのOSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティーが開発した「LeelaZero」などが登場し、AI搭載の囲碁ソフトは珍しくなくなった。

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