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「日本の英語学習は非効率」 アイスランド人が日本向け英語学習システムを作ったワケこれからのAIの話をしよう(教育編)(3/3 ページ)

» 2019年12月24日 07時00分 公開
[周藤瞳美ITmedia]
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「たこつぼ化する日本のAI業界」 研究者が警鐘

 豊田工業大学シカゴ校との共同研究の窓口を務める古井氏は、イェンソンCTOの東工大院生時代の指導教員でもある。古井氏は1970年ごろから音声認識技術を研究しており、日本のAI研究や開発の現場を数十年にわたって見てきた人物だ。

 教育業界でのAI活用について、古井氏は「まだまだこれからでしょう」と話す。「AI技術は進歩していますが、それをどう使いこなすかは難しい問題です。教育に関しても、言語学習に限らずユースケースを提案していく必要があるでしょう。質の良いデータをどう集めるかは大きな課題です」(古井氏)

 学習塾などでは、従来からの個別指導にAIを導入し、さらなる学習効果を追求するケースも増えてきている。教育業界でのAI活用という観点では、まずは民間教育から普及が進んでいきそうだ。

 古井氏は、米国や中国に遅れを取っているといわれる日本のAI業界の現状についても「日本はたこつぼ化が進んでいる」と警鐘を鳴らす。

 「AIの研究・開発は少人数でできるものではなく、優秀な人たちが結集して取り組む必要があります。しかし、日本はたこつぼ化が進んでおり、国の研究所ですら各所がバラバラに研究をしている状況です」(古井氏)

 さらに、「たこつぼ化された範囲内でできることしか実現されておらず、こうした状況は非常にもったいない」とし、「論文公開サイト『arXiv』では、1日100本ものAI関連論文が公開されています。それらを読んで実際に検討してみるということをチーム一丸となってやらないと、最新情報をキャッチアップすることもできません」と語った。

 また、日本国内だけでなく海外との連携も考えるべきだという。「場合によっては、他の国と一緒に研究に取り組んでも良いでしょう。中国や米国の人たちと一緒にやる覚悟と実効性がなければ、今後さらに差が開いていくでしょう」と懸念を述べた。

 日本では、AIやデータを活用できる人材の不足も課題になっている。活用から研究まで、日本のAIを盛り上げていくために立ちはだかる壁は大きい。

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