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“フォント好き”なら絶対楽しめる台湾の旅(後編)【最終回】デジタルネイティブのためのフォントとデザイン(1/9 ページ)

» 2019年12月28日 09時00分 公開
[菊池美範ITmedia]

 11月の台北編に続いて、後編は台中・新左営駅〜高雄、台湾北部淡水エリアのフォントとデザインを紹介する。台湾高速鉄道(THSR)での移動とともに、台中エリアでの路線バス、新左営から高雄までの高雄捷運による乗り換え移動など、安全で楽しい旅を体験できた。

 ケッペンの気候区分によれば、台北のある北部は亜熱帯気候、台南や高雄のある南部は熱帯気候という地理的な相違点があり、文化や風習も異なる部分がある。そうした点を体感する旅でもあった。

連載:デジタルネイティブのためのフォントとデザイン

スマートフォンやSNSの普及で、誰もが気軽に情報を発信できるようになった今、「どう発信するか」を考える上で、欠かせないのがフォントやデザインです。「最近ここのフォント変わったな」「このロゴどうやってデザインしたんだろう」と、身近な文字が気になっている人も多いのではないでしょうか。

この連載では、街角やビジネスの現場など身のまわりにある文字をきっかけに、奥深いフォントとデザインの世界をご案内します。いつも使っているスマートフォンやデジタルカメラを片手に、ひとときの「フォントの旅」を楽しんでみませんか。

菊池美範(きくち よしのり)

1980年代末からパーソナルコンピュータをデザインワークに取り入れ、1990年代〜現在までグラフィック、エディトリアルデザインの分野でフォントの適切な使い方にこだわったデザインワークを続ける。「ITmedia NEWS」のロゴの「ITmedia」部分のデザインも担当している。

台中エリアのフォントとデザイン(台中駅付近)

 台北から台湾高速鉄道(THSR)で出発して数十分で到着する台中だが、実は台湾高速鉄道の台中駅から在来線の台中駅までは結構な距離がある。このため両駅間の移動は、徒歩数分でホームが接続している台湾鉄路管理局(台鉄)の新鳥日駅路線を利用することになる。

 在来線の台中駅までのアクセスと導線はフォントとデザインの面で面白いポイントが多く、台中旧駅舎の保存と再開発は、JR東京駅の赤れんが駅舎のオリジナル建築の復元プロセスを経験している日本人にとっては興味深い事業だ。

photo 1917年に竣工した台鉄の旧台中駅。台中を代表する歴史的建造物ということもあり、風格あるれんが造りの建物だ。まだ撤去されていない料金票や経路案内など、駅舎として使用されていた名残が香る
photo 2019年11月現在、工事中の駅舎は工事関係者以外の立ち入りは禁止されている。この日も内装や建具の工事が行われていた
photo 駅舎が現役当時の自動券売機や時刻表がそのまま残されていた。設備的にはデジタルサイネージやタッチパネル式の現代的な機器ではなく、昔ながらの機械式自動券売機だったことが分かる
photo 鉄道文化施設として完成されたランドスケープの予想図。3DCADやCGで再現されたグラフィックではなく、手描きのスケッチ風イラストレーションが味わい深い。左上には駅舎のアイコンとロゴマークが配置されている
photo 台北の旅行代理店ポスターだが、現在の台中駅構内にあった鳥取県の一畑電車との相互利用促進キャンペーンを展開していた。このように台日の鉄道ファンをターゲットとしたキャンペーンは台湾のあちらこちらで見かけた。穏やかな風景を走るのんびりした一畑電車の雰囲気を、極太のポップな丸ゴシックでタイトルまわりを組んでいる
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