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“5G前夜”、IoT機器への攻撃に備えよ 対策の鍵は「自動化」と「ゼロトラスト」(2/2 ページ)

» 2020年01月27日 07時00分 公開
[高橋睦美ITmedia]
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 チェック・ポイントはこうした状況に対し、既存のソリューションを生かした多層防御に加え、クラウドサービスと軽量のエージェントといったいくつかの技術を組み合わせて守っていくアプローチを考えているそうです。

 対策のキーワードの1つは「自動化」です。同社は多数のIoT機器を検出するために、検索エンジンとAPIを活用して自動的に探索を行い、さらにその機器で動作しているソフトウェアの種類やバージョンを確認して、脆弱(ぜいじゃく)性がないか、リスクを判断する仕組みを提供するといいます。

 リスク分析結果に応じて、やはり自動的に適切なポリシーを適用して保護していくイメージです。「手作業で大量のIoT機器に対し、それぞれ適切なポリシーを適用していくというのは、無理なことだ」とフェイグレビッチ氏は述べました。

 もう一つのキーワードは、最近ITセキュリティの世界でも認知度が高まっている「ゼロトラスト」というアプローチです。侵害があり得ることを前提に、万一不審な振る舞いを見つけた場合はIoTデバイスごとに厳密なアクセスポリシーを適用し、被害を最小限に抑える方法です。「IoTデバイスそのものを守ると同時に、感染したIoTデバイスからネットワークを守るという2つの役割を果たす」と同氏は説明しました。

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 チェック・ポイントはまた、20年の東京オリンピックに向け、セキュリティ対策の強化が必要だとも呼び掛けています。かつてない数の機器やモバイルデバイスがつながり、オンラインでチケットや宿泊先を予約し、リアルタイムに中継を楽しんだり、SNSでその感動を共有したりといった行動が当たり前になった世界でのオリンピック、つまり「あらゆるものがつながる世界」でのオリンピックだけに、しっかり備える必要があるというわけです。

 ただ、とかく「オリンピックはサイバー攻撃に狙われる」といわれがちですが、その実態をよく見てみると騒がれている割には大半がポートスキャンなどの探査行為で、頻繁に深刻な攻撃が来ているというわけではなさそうです。

 メディアが取り上げるからこそ、いたずら半分、あるいは示威目的の攻撃が増加するのかもしれません。ですので右往左往するのは考えものですが、油断は大敵、ノーガードでいいという話にも決してなりません。自社にとって、あるいは関連する組織にとって何が起こると嫌か、それを避けるには何ができるかを考え、オリンピックに限らずその先も見据えて備えたいものです。

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