コンピュータで“錯視”の謎に迫る
みかん、オクラ、ニンニク──スーパーで見られる「色の錯視」を知ってる?(2/2 ページ)
水彩錯視を使ってグリーティング・カードを作る
水彩錯視は色の同化と違って、囲まれた領域の広さに関する制限がないため、さまざまな用途が考えられます。例えばわが家では2019年に、水彩錯視を使った年賀状を作ってみました。
年賀状のねずみや花、文字は、輪郭線以外の部分は白色ですが、色がうっすらと付いているように見えます。輪郭線以外が白色であることを確認するための動画も作りましたのでご覧ください。
水彩錯視はグリーティング・カードをはじめ、さまざまなものに使えます。いろいろ楽しんでみてはいかがでしょうか。
進んでいない水彩錯視の数理モデル研究
ところで、色の錯視にはこの他にもいくつかのタイプがあります。例えば、この連載では第5回で色の対比錯視、また、色というよりは輝度の錯視ですが、第11回で新しいタイプのエッジによる輝度の錯視を取り上げました。
特に第5回では、色の対比錯視について、脳内の視覚情報処理の数理モデルによる錯視の再現(シミュレーション)、さらにある種の逆問題を解決できたことも報告しました。しかし、水彩錯視や新しいタイプのエッジによる輝度の錯視については、この種の数学的研究の突破口が現時点では見いだせていません。これらの錯視が脳内の神経細胞のどのような計算で発生しているのかを数理モデルレベルで解明し、コンピュータで再現することは、今後の研究課題の一つといえるでしょう。
錯視の謎をコンピュータで探る旅はまだまだ奧が深そうです。
引用・参考文献
[A] 新井仁之(監修・著)・こどもくらぶ(編)(2016),だまされる脳,ミネルヴァ書房.
[J]JISハンドブック 61 色彩,2019,日本規格協会.
[K]北岡明佳(2010),錯視入門,朝倉書店.
[P1] B. Pinna, G. Brelstaff, and L. Spillmann (2001), Surface color from boundaries: a new ‘watercolor’ illusion, Vision Research 41, 2669-2676.
[P2] B. Pinna, J. S. Werner and L. Spillmann (2003), The watercolor effect: a new principle of grouping and figure-ground organization, Vision Research 43, 43-52.
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コンピュータで“錯視”の謎に迫る
あなたが今見ているものは、脳がだまされて見えているだけかも……。この連載では、数学やコンピュータの技術を使って目に錯覚を起こしたり、錯覚を取り除いたり──。テクノロジーでひもとく不思議な「錯視」の世界をご紹介します。
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