「最初、お話をいただいたときはお断りしました。“AIが作った漫画”と呼べるものではなかったからです」――講談社の青年漫画誌「モーニング」の三浦敏宏編集長は、2月26日の「TEZUKA2020」新作漫画お披露目イベントで、こう語った。
TEZUKA2020は、“手塚治虫らしさ”を学習したAIを活用して新作漫画を制作するプロジェクト。27日発売のモーニングに制作された漫画「ぱいどん」が掲載されたが、三浦編集長の言葉からは、このプロジェクトが一筋縄ではいかなかったことが伺える。
なぜ、AIを使って手塚治虫さんが描きそうな漫画を制作しようと思ったのか。AIを使った漫画制作にはどのような苦労が伴うのか。AIと漫画家の関係はどうなっていくのか――当事者に聞いた。
「もしも今、手塚治虫が生きていたら、どんな未来を漫画に描くだろう?」
本プロジェクトは、こんな発想から始まった。キオクシア(旧東芝メモリ)、手塚プロダクション取締役で手塚治虫さんの長男である手塚眞さん、公立はこだて未来大学の松原仁副理事長、同大システム情報科学部の迎山和司教授、慶應義塾大学理工学部の栗原聡教授らが協力し、約半年で漫画を完成させた。
松原副理事長は、「本当なら5年はかかるものを半年でやる必要がありました。それなりにAIが関与したものだと言えるように、今のAI技術で何ができるかを考えました」と振り返る。漫画制作の過程でAIがどこまでの役割を担ったのかは、多くの読者が気になる所だろう。
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