資料には「発生段階が国内発生早期に移行した場合」「社員の欠勤者数が増大する恐れがある場合」と回答している鉄道事業者が多いようです。現在の新型コロナウイルス感染症がどの段階にきているのかは分かりませんが、通常ダイヤで運行されていることを考えると、そこまで深刻な事態には至ってないのでしょう。
この資料では、感染が拡大して臨時ダイヤとなった場合のシミュレーションも行っています。郊外から都市部に向かう列車を想定し、駅間移動人数が平時の6割程度と仮定した上で交通量を算出。混雑率を計算します。また混雑率が250%を超えないよう、乗り切れない旅客は積み残し人数として、次の時間帯の移動人数に計上するという方法です。
この結果を見ると、平日の朝7時台にはすでに250%に達し、その後250%に達する駅が広がっていきます。本数の少ない臨時ダイヤではかなりの混乱が予想されることが分かります。
乗車率250%がどのような状況かというと、電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きがとれず、手も動かせない状態です。感染を広げてしまう可能性は高いと思います。
この他、駅での積み残し人数が1000人を超える駅が多数発生し、最大で約8300人になります。
これを防ぐ方法として、この資料では「利用者を平時の4割程度まで抑制する必要がある」と指摘しています。シミュレーションは6割だったので、さらに2割の人たちが通勤や通学を「しない」選択ができなければなりません。
資料は6年前のものですが、今この時期に読むと、かなりセンセーショナルな内容でした。幸いにも現在はこの段階には至っていませんが、世界的に感染が広がっていることを考えると、こうした状況になる可能性もあると承知しておくべきでしょう。
鉄道の運行に支障が出ていない今のうちに、鉄道を「利用しなければならない人」を減らしておく必要があります。テレワークの推進やイベントの自粛要請、そして休校といった最近の動きには、こうした想定も影響しているのかもしれません。
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