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“裸写真”流出にスカート盗撮も――中高生のスマホトラブル、解決の糸口はどこにあるのか(3/3 ページ)

» 2020年03月03日 07時00分 公開
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 こうした問題に対し、スマホの機能を利用して対策を施す例も出てきている。トーンモバイルが2月14日に発表したスマートフォン「TONE e20」は、AIを活用して裸体などの撮影を防止できる機能を備えている。被写体にカメラをかざすとAIが分析し、不適切と判定した場合はアラートを発する他、撮影データを保存しない仕組みだ。子どもが面識の無い大人にだまされ、自分の裸体写真を送ってしまうような事態を防ぐ。

スマートフォン「TONE e20」

 トーンモバイルは、親子が安心してスマホを使えるような独自機能に注力しているMVNOだ。AI検出の精度については、恐らく「これから」という部分もあるだろうが、端末側でこうした問題にアプローチできる意義は大きいように思える。

 今後もAI技術などを用いて、子どもが抱える問題を解決できるような機能がアップデートされていくのだろう。こうした取り組みは、他の携帯事業者やMVNO、端末メーカーなどにも広がってほしい所だ。

技術のいたちごっこの時代に何をするか

 今後、ディープラーニングを使って真実でない映像や音声を生み出す「ディープフェイク」の技術が身近になると、スマホアプリを使って「ポルノ動画に同級生の顔を合成する」ようなトラブルが増加すると考えられる。

 新しい技術やツールが出てくると、それに伴い新しい使い方が生まれる。トーンモバイルは裸体検出機能を持つスマホを発売したが、技術の進化で新たなトラブルも生まれるわけで、そうしたいたちごっこは続いていく。

 被害者にも加害者にもならないためには、他人を尊重し、尊厳を奪わない立ち振る舞いを心掛けるしかない。それは子どもに限らず、大人だってそうだろう。こうして偉そうに記事を書いている筆者も、意図せず誰かを傷つけてしまったり、配慮不足で不快な思いをさせてしまったりしては、反省する日々だ。

 その上で提言させていただくとすれば、普段の生活で子どもが不安や孤独を抱えないようなケアを大人たちがすることが必要だ。子どものスマホをe20のような機能を持つ端末に変えるのも一つの手だろう。その上で、わが子が加害者にならないために、他人を尊重する心を伝えていくべきではないだろうか。

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