日本展示会協会はこのほど、2020年12月以降に東京ビッグサイトで開催予定の展示会を予定通り開催できるよう求める要望書を、東京都や経済産業省などに提出した。東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)の延期に伴って、同施設の利用制限が最大1年間(21年11月まで)延長されると、展示会主催者、出展社、支援企業の売上が大幅に落ち込む危険性があるため。同協会の試算によると、5万160社が影響を受け、約1.5兆円の損失につながるという。
東京ビッグサイトは本来、東京五輪の開催期間中にメディアセンター(報道拠点)として使われる予定だった。そのため一般企業は、20年4月〜11月は東展示棟、5月〜9月は西・南展示棟と会議棟、7〜9月は青海展示棟を利用できない。東京五輪の延期が決まった現在も、これらの利用制限に変更はない。21年の開催に向けて、再びこうした長期間の利用制限が設けられた場合は、展示会の運営側と出展社には大幅な予定変更が求められる。
東京ビッグサイトでは、「第30回 日本国際工作機械見本市」(20年12月7日〜15日)をはじめとする大規模な展示会が控えている。運営元と出展契約を済ませた企業もあるため、「予定通り開催できない場合は大きな補償問題となる」「日本の展示会業界は再生不可能な痛手を負う」と同協会は懸念している。
そのため同協会は東京都などに対し、20年12月以降は東京ビッグサイトの全施設を利用可能とするよう求めている。それが難しい場合の代替策として、(1)都内に仮設の展示場を設けること、(2)西・南展示棟など一部施設を利用可能にすること、(3)すでに募集を始めている展示会を支援すること――なども提案中という。
同協会によると、これまでの利用制限で、すでに出展社の売上に支障が出ている他、新型コロナの影響で2月下旬以降に約350件の展示会が中止・延期されたため、展示会業界は厳しい状況にあるという。その中で利用制限が延長された場合は「(業界にとって)トリプルパンチの大打撃」「数多くの経営難や倒産が予想され、日本経済に莫大な損失をもたらす」としている。
ただし現時点では、同協会の要望が通るかは不透明だ。ITmedia NEWSの取材に対し、東京ビッグサイトを運営する同名企業は「(12月以降の)会場利用については、(東京五輪の)組織委員会の判断で決まるが、現時点で組織委からの話はなく、コメントできない」と回答した。
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